【嵐の夜、海の女神は沈みゆく――海の女神ネレイア】
だが、この夜の海は、まるで別の世界だった。
波が脈打ち、風が悲鳴のように鳴り、
海そのものが怒りを抱えているように思えた。
稲妻が走った瞬間、私はそれを見た。
──海の女神が、横倒しになっていた。
彼女の存在を知らぬ者はいない。
潮を導き、海を守る、あの女神ネレイアだ。
だが今、嵐に押し流され、海に抱え込まれるようにして倒れている。
淡い青光を帯びた髪が嵐に裂かれ、
真珠のような肌が波に濡れ、
その顔は、苦痛とも祈りともつかない震えを帯びていた。
女神の周囲では、黒銀の巨大な腕のようなものが海から伸びていた。
それらは波と同じリズムでうねり、
女神の身体を押し流し、回転させ、
まるで海の深みに引き戻そうとしているようだった。
そのとき、女神の手から三叉槍が滑り落ちた。
塔のような武器が海へ沈む直前、青金の光が私の小舟を照らす。
そして──
その瞬間、女神の唇が震え、
嵐の音を裂くように、かすかな声が漏れた。
「……あ……っ……」
その声は、叫びでも命令でもなかった。
ただ、限界を超えた痛みと、
それでも折れまいとする意志が混ざり合った、
ひどく人間的な響きだった。
波が女神の胸元まで押し寄せ、
彼女は沈みかけながらも、かすかに首を持ち上げた。
閉じた瞼が震え、息が乱れ、
それでもなお、海を守る者としての誇りだけは消えていなかった。
私は息を呑んだ。
その一瞬、嵐の音が消えたように感じた。
私は見てしまったのだ。
海の女神が崩れゆく瞬間を。
――漁師イライアスの手記より
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※「S字(恥じらい)のポーズ」、「横たわる裸婦」と並ぶ世界三大セクシー構図のひとつ(?)、「蛸と海女」のオマージュです。バトルシーンに落とし込んでみました。
※2枚目は表情に特化したもの。何をされているかは想像を楽しんでください。
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