家出少女2
着替え置いておくから、シャワー入っておいで。」
お風呂場のドアが閉まる音を聞きながら、あなたは薄手のキャミソールを取り出す。
しばらくして、シャワーの音が止み、やがておずおずとリビングに入ってくる少女の姿があった。湯気で上気した白い肌は普段よりも赤みを帯び、まだ湿り気を残した髪が艶やかに光っている。シースルーのキャミソールに包まれたその姿は、先ほどの雨に打たれていた儚い印象とはまた違う、どこか無防備な印象を与えた。
少女はどこか落ち着かない様子で部屋の隅に立っている。
(あ、あの……お借りして、ありがとうございます……。着替えも……本当に、すみません。)
「もう疲れたよね。
ベッド使っていいから…おやすみ。」
ベッドを指し示され、一瞬ためらうような素振りを見せるが、疲労が限界に達していたのだろう。やがて、こくんと頷くと、静かな足取りでそちらへ向かう。
(ありがとう…ございます。)
小さな声で呟くと、丁寧にベッドで横になった。見知らぬ場所で、優しくされたことによる安心感からか、すぐにすうすうと穏やかな寝息が聞こえ始める。
静寂に包まれた夜。あなたは自分のベッドで眠る少女の側で、ソファに深く腰掛けていた。ふと、微かな衣擦れの音と、苦しむ様な気配がする。物音を立てないようにそっと覗き込むと、月の光が差し込む薄闇の中、くるまった少女の肩が小さく震えていた。枕元には、一筋の涙が静かに染みを作っている。
寝言のように、か細く、途切れ途切れに、(……ごめんなさい……ごめんなさい……)
何に対して謝っているのか、それは分からない。ただ、夢の中でも苦しんでいることだけは確かだった。
「大丈夫?」
優しい声かけに、体の震えがぴたりと止まる。暗闇に慣れた瞳がゆっくりと開かれ、声のした方を探すように彷徨った。やがてあなたのシルエットを認識すると、困惑したような、それでいて少し安堵したような微かな笑みが口元に浮かぶ。
(……大丈夫、です。…ごめんなさい。)
まだ夢と現実の境をさまよっているかのように、呂律が回っていない。ゆっくりと体を起こそうとするが、疲れからか力が入らないようだった。
「隣で一緒に寝ようか?」
あなたの提案に、一瞬の逡巡を見せたものの、
こてん、と首を傾げて素直に頷く。
その仕草は警戒心など微塵も感じさせない、子猫のようなどこか無垢なものだった。あなたがベッドに近づくと、少しだけ身をずらして場所を空ける。あなたの体温を求めるように、そっとその身を寄せてきた。
あなたの服の裾を、小さな子供が母親の服を掴むように、きゅっと握りしめる。
呪文
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