生きた花
「ここにだけ咲くんだって。『幽浮の幻蓮』——水面に浮かんで、月明かりを浴びると淡い青と金色の光を放つ、伝説の花。根を張らずに浮かんでいるから、まるで水の精が捧げた宝石みたいだって……君と一緒に見たいと思ってさ」
彼の声は優しく、甘く、私の好奇心をくすぐった。
私は素直に頷き、彼の後をついてきた。陽が木々の隙間から差し込む午後の森は、まるで絵本のようだった。池に着いた瞬間、私は息を飲んだ。
水は澄んでいて、底の小石まで見える。木漏れ日がキラキラと波紋を描き、確かに何かが咲いていてもおかしくない場所だった。
でも——花はなかった。
「…どこ? 見当たらないよ」
振り返った私の視界に、赤い縄が映った。
彼の手の中で、太く艶やかな縄がゆっくりと輪を描いている。
「ごめん。花なんて、最初からなかったんだ」
その瞬間、すべてが理解した。
足が竦み、逃げようとしたけれど、彼の動きは予想以上に速かった。細い手首を掴まれ、背後にねじり上げられる。抵抗する私の体を片手で押さえつけながら、もう片方の手が素早くブラウスに伸びた。レースの縁を乱暴に引き下げ、ボタンが弾け飛ぶ音が響く。白い布が肩から滑り落ち、柔らかい胸が露わになる。さらにスカートのホックを外され、紺色の生地が腰を伝って足元に落ちた。
「や……! やめて、触らないで……!」
必死に身をよじるが、すでに下着も剥ぎ取られ、一糸まとわぬ姿にされていた。冷たい空気が肌に触れ、羞恥と恐怖で全身が震える。
彼はそんな私を無視するように、赤い縄を手に取った。最初は優しく、しかし確実に締め付けていく。手首を背中で重ね、肩から胸、腰、へと縄が這い回る。肌に食い込む粗い感触が、逃げ場のない屈辱を刻みつけた。縄が乳房の根元を強く締め上げ、複雑に交差しながら体を芸術的に縛り上げていく。
「や…やだ……!」
声は震え、涙が頰を伝う。
でも彼は微笑んだまま、縄の最後の一結びを丁寧に締めた。
「君はこの池に、生けられるんだ。
幽浮の幻蓮なんて嘘だけど……本物の『生きた花』が、ここに一輪咲くよ」
冷たい水が足首を包む、
縄で縛られた体は自由を奪われ、ただ水面に浮かぶように立たされている。木漏れ日が肌を照らし、縄の影が複雑な模様を描く。
涙が一筋、頰を落ち、水面に小さな波紋を広げた。私は、この池に生けられた。
伝説の花など存在しない、ただ一人の男の欲望のために作られた、儚くも艶やかな生きた花として——。
呪文
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