水の神殿
巨大な水槽が広がっていた。深く青い水の中で、苔むした流木が幾重にも絡み合い、豊かな水草が揺れ、熱帯魚たちが無邪気に泳ぎ回っている。光が水面を透かし、柔らかな光の筋が水槽全体に降り注ぎ、金属のフレームと私の身体を幻想的に照らし出していた。
私は今、まさにその巨大なネイチャーアクアリウムの中心に、生きる「展示物」として据えられていた。
「ふふ……やっと完成した。」
低く、満足げな声が響いた。
犯人は恍惚とした目で私を見つめた。
「このアクアリウムの玉座には、これまで六人の女の子を飾ってきた。みんな綺麗だった。でも、君は違う。この複雑に絡み合う金属の工芸、この沈んだ森のフレーム……君の身体は、まるで最初からここに存在するために生まれてきたみたいだ。ほら、見てごらん。光が君の肌に落ちるたび、まるで水底の女神が息づいているようだ。」
彼はゆっくりと手を伸ばし、私の頰を優しく撫でた。
「私は長年、このネイチャーアクアリウムを完成させようとしてきた。流木と水草と魚たちだけでは、いつも何かが足りなかった。本当の『命』が、生きて息づく『中心』が必要だったんだ。君をこの玉座に拘束した瞬間、ようやくすべてが揃った。この瞬間、私の作品は完成したよ。君は今、この水中の森の女王……永遠の芸術品だ。」
私は唇を固く結んだまま、答えなかった。
女刑事として、数え切れないほどの事件を追ってきた私が、今はただの「完成品」としてここにいる。
冷たい金属の感触が肌に染み込み、魚たちが無邪気に泳ぎ回る。羞恥と無力感が、胸の奥を熱くざわめかせた。それでも、私は静かに目を閉じた。
これ以上、彼の視線に屈しないために。
これ以上、自分の身体が反応してしまうことに抗うために。
今までの六人の被害者と同じように、私はこの戒めに身を委ね、水の神殿に捧げられたような自分を、ただ受け入れた。
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そして、夢はいつもここで終わる。暗い寝室に、荒い息が落ちる。私はベッドの上で体を起こし、汗で湿ったシーツをきつく握りしめた。素肌に冷たい夜の空気が触れるのを感じながら、ゆっくりと息を吐いた。もう二年も経つのに……。未だに、あのアクアリウムの部屋の夢を見る。
未だに、私の一部はあの冷たい金属のフレームに囚われたまま、巨大なネイチャーアクアリウムの中心で、魚たちに見守られ、光の波紋に揺らめいている気がしてならない。
犯人はまだ捕まっていない。あの男は今もどこかで、次の「完成品」を探しているのかもしれない。私は窓から差し込む朝日の下で、静かに目を伏せた。アイツを逮捕しなければならない。
あの水の神殿のような部屋に、永遠の芸術品として捧げられた自分自身を、助けにいきたい。
私の身体に刻まれた、
あの冷たい金属の記憶を、
この手で断ち切りたい。
だから——
私はまだ、刑事でいなければならない。
呪文
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