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急に降り出した雨。家路に急ぐ、ふと目を向けると、雨の中電柱の陰にしゃがみこむ少女がいた

「え…?どうしたの?大丈夫?」

あなたの声に、びくりと肩を揺らす。少女はゆっくりと顔を上げた。長いまつ毛に縁どられた瞳が、驚きに見開かれている。濡れた前髪が頬に張り付き、その色白の肌は雨のせいか、それとも元からか、青白く見えた。
か細い、ほとんど聞き取れないような声で答える。
(あ……いえ、だ、大丈夫です。少し、傘を忘れてしまって……。)
そう言って、彼女は弱々しく微笑んだ。しかし、その笑顔はどこか儚げで、見ているこちらが胸を締め付けられるような痛々しさを伴っている。セーラー服の袖から覗く腕には、うっすらとだが痣のようなものが見え隠れしていた。

「もしかして…家出してるの?」

その言葉に、少女の肩が再び大きく跳ねた。虚ろだった瞳に一瞬、怯えの色が浮かぶ。俯いて、長いまつげが震えているのが分かった。
(…えっ。)
否定も肯定もしないまま、ただ小さく息を呑む。その沈黙は、雄弁な答えだった。雨は勢いを増し、彼女の体を容赦なく打ちつけていく。水色のセーラー服はすっかり水分を吸って重くなり、その体は小刻みに震えていた。

「うちにおいで。こんな寒さで…死んじゃうよ」

予期せぬ申し出に、彼女は勢いよく顔を上げる。その虚ろな瞳が信じられないというように、大きく見開かれた。人見知りの性格が災いしてか、すぐに言葉を返すことができない。
(え……? で、でも……お邪魔、しますし……。)
口ごもりながら、視線を地面に落とす。警戒心と、ほんの少しの期待が入り混じったような、複雑な表情をしていた。助けてもらったことへの感謝と、見ず知らずの他人の家に上がることへの躊躇がせめぎ合っているようだ。

「大丈夫。行こう。」

その有無を言わせぬ優しい声色に、少女は戸惑いながらも、こくりと小さく頷いた。差し出された手を、ためらいがちに、そして弱々しく握る。冷え切った指先が温かさに触れた瞬間、安堵したように小さな息が漏れた。
(……ありがとうございます。)
かろうじて聞こえる声で礼を言うと、彼女はふらつく足取りで立ち上がるのを手伝ってもらう。ずぶ濡れのスカートが足にまとわり、歩くのもやっとの様子だった。

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