光がしおりを挟むころ/スマホ壁紙アーカイブ
ある午後、図書館のいちばん奥で、
少年は一冊の本を読んでいた。
物語はもう終盤だった。
主人公は旅の果てに立ち、
何か大切なものを選ぼうとしている。
ページをめくるたび、窓の外の木々が風に揺れた。
まるで本の続きを知っているかのように。
少年はふと顔を上げる。
ガラス越しの世界は眩しく、
葉の影が床に揺れていた。
その光は静かに伸びてきて、
本の開かれたページの上に落ちる。
まるで誰かが、
「ここを覚えておいて」と、
しおりを挟んだみたいに。
少年はしばらくその光を見つめた。
物語の主人公が選ぼうとしているものと、
自分がいつか選ぶことになるものが、
少しだけ重なった気がしたからだ。
やがて光はゆっくり形を変え、
風とともにページから離れていった。
けれどその日、しおりになったのは本ではなかった。
何年後かに思い出すための午後そのものが、
静かに心の中へ挟み込まれていた。
呪文
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