こっちを向いて
部屋に澄んだ高音が響く。黄色い花冠をかぶったチカは、抱えた膝の上で小さなベルを揺らした。
「ねえ、リョウ先輩。この音が聞こえたら、私に美味しいお菓子を差し出さなきゃいけない法律があるんですよ」
デスクで読書をしていたリョウが、苦笑しながら振り返る。
「そんな法律は知らないな。チカ、今いいところなんだから静かにしててくれ」
「むぅ。じゃあ、ルール変更です。このベルが鳴ったら、私を三分間見つめること!」
チリン、とチカは強めにベルを振った。
「はい、スタートです!」
リョウは本をパタンと閉じ、ため息をついた。
「お前なぁ。その頭の花飾りは何だい?」
「ふふん、可愛いでしょ? 妖精さんなんです。妖精さんを無視すると、バチが当たりますよ?」
「妖精にしては、随分と要求の多い妖精だな」
「要求じゃありません! 私は一生懸命アピールしてるんです!」
チカはベルをきゅっと握りしめ、期待を込めた上目遣いでリョウを見つめた。
「ほら、また鳴らしますよ? 今度は私の頭を優しく撫でてくれるまで、ずーっと鳴らし続けますからね!」
「わかった、降参だ。ほら、おいで」
リョウが苦笑いしながら立ち上がると、チカは嬉しそうに目を細めた。
呪文
入力なし