兄貴なんて空気じゃん第3話 #ダウナー妹登場
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「おいレナ、せめて下を穿け」
リビングのソファに深くもたれかかり、携帯ゲーム機に没頭している妹のレナに、俺はいつも通りのツッコミを入れた。
前髪で両目が隠れた主人公みたいな風貌をしている俺だが、残念ながら現実は非情である。目の前にいるのは、パーカーの下に、縞パンを1枚穿いただけという、あまりにも治安の悪すぎる格好をした実の妹だ。
「……あー、兄貴うるさい。今、超高難度レイドの周回中。話しかけないで」
視線すらこちらに向けず、レナは気だるげに淡々と指を動かし続けている。
こいつは自他共に認めるプロ級のゲーマーなのだが、上手すぎるがゆえに、どんなボス戦もただの「作業プレイ」に見えるのがまた憎たらしい。画面を凝視するその瞳は冷徹そのものだが、気だるげな表情のまま淡々とコンボを繋いでいく姿は、職人のそれである。
いや、職人魂は認めるが、その体勢はどうなんだ。
ソファに体重を預けてルーズに座っているせいで、パーカーの裾が完全にめくれ上がっている。
結果として、水色と白のボーダー――いわゆる王道の「縞パン」が、隠す気ゼロの大画面で俺の視界に飛び込んでいるわけだが。
「……お前さ、兄貴とはいえ一応オトコの前だって自覚ある? 縞パン丸見えなんだわ」
「……は? 気にする方が自意識過剰でキモい。……あ、クリティカル出た」
冷たい。温度にして絶対零度。
特別な感情どころか、関心すらミリ単位も存在しない、完璧なる「空気扱い」である。ここまで堂々と下着を晒しておいて、1ミリも動じないその鉄のメンタルはどこから来るんだ。
風が吹いてスカートがめくれただけで大騒ぎする世のヒロインたちに、爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。いや、こいつの場合はめくれ上がったまま固定されているのに、涼しい顔でラストボスをハメ殺している。
歩くたびに揺れるピンク紐のくのいちも、ヘリの風圧でパンツを全開にしていたポンコツお嬢様も、こいつの「無関心ゆえの無防備」に比べれば、まだ可愛げがあったのかもしれない……。
「……よし、討伐完了。あー、今回のドロップ率渋。兄貴、お茶淹れて」
「自分で淹れろ。あと、いいから早く穿け!」
画面がクリア暗転した一瞬だけ、液晶に映った自分の顔(※超気だるげ)をチェックし、レナは小さくあくびをした。
……我が妹ながら、顔だけは美少女そのものなのに、中身がこれでは将来が本気で思いやられる。
呪文
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