【第2夜】不死の魔女と月下のお茶会
リーゼロッテ🌹「ごきげんよう、諸君。月下の茶会と洒落こむには実に佳い夜だね」
ゴーレムの天馬の曳く馬車の到着と共に、予定通りの時刻に来客は現れた。
薄闇においても輝く赤い髪、突き刺すような青い瞳。不死の魔女は紫のドレスに、時代がかった帽子といういで立ちだった。
堂々と現れた吸血鬼の淑女は帽子を取ると、典雅に一礼した。
リーゼロッテ🌹「こたびは貴君の城への招待、感謝しよう。
我が名はリーゼロッテ・リリエンタール。時の女王の最後の弟子、歴史に名を遺す呪われし帝国の出よ。
紫の女卿とも、不死の魔女と呼ぶ者もいる。魔術の真理の探究者にして永劫の夜を旅する者、そなたと同じ闇の同胞だ」
ナナシーもスカートの裾をつまむと丁寧に挨拶した。
ナナシー🍷「こちらこそ、招待状に応じて頂いたこと、まことに感謝いたしますわ。
わたくしの名はナナシー・プリムローズ。掲げる家門は蝙蝠に薔薇、プリムローズ一族に属する者。金と紅の華、金紅の姫と呼ぶ者もいます」
赤髪の魔女は謎めいた微笑みを浮かべると、少女の姿をした不死者の姿を見た。
リーゼロッテ🌹「なるほど、遂に名を得て私の前に立ったか...。
さて、既に玄関は過ぎてしまったが、ここは貴君の居城だ。私はこの部屋に入るため、主の許可を得たと考えてよいかな」
ナナシー🍷「もちろんですわ! さあ、おくつろぎください」
リーゼロッテ🌹「ありがとう。吸血鬼は許可を得ないと他人の家や部屋に入れない...この伝承はもはや死に絶えて久しい。
この理に縛られた吸血鬼はもうほとんどいない。そなたや私にも効かないだろう。だが私は一応、このしきたりに敬意を払うことにしているのでね」
白いモフモフした獣が席を案内すると、不死の魔女は興味深そうに獣を見やった。
使い魔ミルヒヴァイス👻「それでは、どうぞこちらの席へ」
リーゼロッテ🌹「これはありがとう、使い魔くん。名はミルヒヴァイスだったね。
直接会うのはあの襲撃の夜以来か...ふむ、やはり主の魔力によって実体化している形の獣か。姿は変えられても、主を護る戦士となるほどに巨大化はできないようだね」
使い魔ミルヒヴァイス👻「(あれ....そういえばボク名乗ったっけ? なんか名前知られてる?)」
一同は席についた。不死の魔女は面白そうに部屋を見渡した。
リーゼロッテ🌹「ほう...あの蝙蝠や蜘蛛の巣、ハートの光は魔術の幻影で出しているのかね。伝統的なゴシックと現代の融合といったところか。最近の若い吸血鬼の流行かな。なかなか面白い趣向だね。
食器やお菓子も...なかなかにカラフルだね。現代アートのようだ。わざわざの準備、痛み入るよ」
ナナシー🍷「はい、お気に召すと良いのですが。お好きと聞いたので、お酒もご用意いたしましたわ」
リーゼロッテ🌹「それはありがたい。力ある吸血鬼には、人間の従者から絞った新鮮な血をワインに混ぜて飲むことを好んだり、客に出してくる者さえいる。
私はあれはあまり好きではないのでね。酒もお茶も、本来の風味で味わいたいものだ」
ナナシー🍷「はい...わたくしの一族の長老にも、中にはそういう趣向を持った者もおりますわ...。😓
そ、それで。この茶会を始める前に、先に申し上げることがありますっ!」
ナナシー・プリムローズは緊張したように席を立ち、来客の元に歩んだ。
使い魔のミルヒヴァイスもぴょんぴょんと飛ぶとその横に立った。
リーゼロッテも席を離れ、彼女の前に立った。
金髪縦ロールの美少女吸血鬼は両手を握りしめ、しばらくもじもじしていたが、ミルヒヴァイスにつつかれると決心したように口を開いた。
ナナシー🍷「あの黄色い満月の晩、戦いの夜からもう幾夜が経ちました...。
不死の魔女リーゼロッテ、あなたに名前も聞かず、自らの名も名乗らず、吸血鬼の流儀に反するぶしつけな戦いを挑んだ非礼を、お詫び申し上げますっ!
一度は再戦をとも考えましたが、それすら浅はかなこと。
名を奪われたあの夜より後になってから、あなたがいかなる人物なのかをようやく知りました。
我が力では最初から、到底及ばぬ相手であったことがようやく分かりました。
あの戦いの場で不死の命を奪われなかったのは慈悲によるものだと、あとになって分かりました...。
わたくしの過ちが消えるわけではありませんが、こちらのプリムローズ家にも事情があり、それは、その...あなたさまからしたら関係ない話でしょうが、これから弁明させていただきますわ...。
謝罪のしるしとして、このわたくしに出来ることなら、できる限りのことはさせて頂きますっ! どうかお慈悲を、寛大な心を賜りたく...」
じっとその言葉に耳を傾けていた不死の魔女は、青く鋭い目で少女の姿をした不死者を見つめた。
リーゼロッテ🌹「その言葉、家門の者に命じられたわけではあるまいな。
上位の吸血鬼による精神操作の類...ではないようだな。見たところ魔術の気配もない。
確認させてくれたまえ。ナナシー・プリムローズ。その言葉は君の本心から、魂から発せられた言葉なのだね」
ナナシー🍷「は、はいっ!これはわたくし自身の言葉、我が魂からの言葉です。我が名にかけて、不死者の矜持にかけて誓いますわ」
少女の紅玉のような瞳を見つめていた不死の魔女は、やがて微笑んだ。
リーゼロッテ🌹「よかろう。よく自らの口で最後まで言った、ナナシー・プリムローズ」
ナナシー🍷「えっ...!?」
リーゼロッテ🌹「その謝罪ができぬ吸血鬼は多いのだーー私やそなたのような年ではなく、特に齢数百年を重ねた長老級の化け物のような吸血鬼たちに。
彼らは自らの過ちを認められず、他人の話を聞くことができず、その力に奢り、見栄と慢心と油断にまみれ、あるいは冷酷な怪物へと堕ちる。
...そして、そうした吸血鬼はいずれ滅びる。その多くはいずれ滅びるのだ」
はっとしたように見つめ返す一人と一匹の前で、不死の魔女は続けた。
リーゼロッテ🌹「諸君らも見当はついていると思うが、その不死の命を奪うなら私はあの夜にやるか、その後の夜に仕留めているさ。
私も闇の生の中で、命を狙われたことは何も一度や二度ではないのでね。まあ、あそこまで清々しい突撃をしてくる相手はなかなかいなかったから、その意味では面白かったがね。
諸君らがその後どうするのか、しばらく様子を見させてもらった。
まるで珍獣のような...(おほん)いや、十分に楽しませてもらったよ。
あの黄色い満月の夜、あの月と夜の霊気が我らを導き、巡り合わせたのだ。これを無駄に終わらせては、あの月と星々に申し訳がたたぬというもの」
咳払いをすると、吸血鬼の淑女は威厳のある声で宣言した。
リーゼロッテ🌹「ナナシー・プリムローズ、貴君の謝罪を受け入れよう。
以後、我らの間には争いは起こらぬ。あの月の女神ヘカテーの平安の光が、今宵の証人となろう」
使い魔ミルヒヴァイス👻「よかったねご主人様!リーゼロッテさんやっぱり怒ってなかったよ!ヾ(*´∀`*)ノ
...って、さっきからどしたの?大丈夫?(;´・ω・`)」
ナナシー🍷「わ、わたくし、き、気が抜けてしまいましたわ...😵💫」
→第3夜に続く...
https://www.chichi-pui.com/posts/eeb0ea61-6145-4ec3-a17b-49535a4e8517/
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「モロヘイヤマン」さんのユーザー企画「#エルボーグローブ」を拝借して、全4夜で2人の吸血鬼の物語を掲載していきます。
「ほい」さんの「#〇〇ガーリー(*´ω`*)」にもゴシックなガーリーで参加です。
ナナシーと使い魔ミルヒヴァイスのおしくらカード→ https://www.chichi-pui.com/posts/8f2cee22-deab-48c9-b23f-0c7a05f2be58/
リーゼロッテのおしくらカード https://www.chichi-pui.com/posts/b9e13b62-85fb-4c32-8184-64c1afedd19d/
【追記】月の女神の加護により大人キャラでもTOP10維持🌟2026年3月12日のデイリー10位、SDXL4位、#オリジナルで6位でした~🎉
不死者たちの物語はいよいよ佳境に...🍷
呪文
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- Scale 7.5
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