便意我慢小説0020
305号室のカーテンを開けたのは、派手めな金髪がトレードマークの当病棟のギャルナース・ゆあだった。
いつものようにギャル特有の高いトーンで元気よく挨拶したものの、その直後、下腹部の奥底から「ゴロゴロ、キュルルルッ……!」と、とんでもない地鳴りが響き渡り、ゆあは心の中で盛大に悲鳴を上げた。
(ちょ、待って待って……マジでリアルにやばいって……っ!)
実はゆあも、朝のギャル特有のルーティン(メイクとSNSチェック)に時間を取られ、便意(ウンチ)をスルーしてシフトに入ってしまった一人だった。そこへ来て午前中の超絶激務。完全にタイミングを逃した腸内では、水分が引いてガチガチになった巨大な質量が、出口の門をゴリゴリと強烈にノックし始めていたのだ。
(う、動いたらガチで漏れる……っ。神様マジお願い、あと10分耐えて……!)
お腹の中でずっしりと重い塊がズルリと下りてくる感覚に、ゆあは息を詰め、お尻の穴をきゅーーーーっと限界まで締め上げた。
しかし、患者を目の前にして立ち止まっているわけにはいかない。ゆあは長いネイルを手のひらに食い込ませ、内股のまま、よちよちとしたペンギン歩きでベッドの脇へと滑り込んだ。
「はーい、じゃあこれ、脇に挟んでくださぁい……ん、くぅ……っ」
体温計を渡すために前かがみになった瞬間、お腹に強い圧迫がかかり、ドクンと大きな波が押し寄せる。
ゆあの顔から一瞬で血の気が引き、綺麗に盛ったファンデーションの下から、大粒の冷や汗がタラリと滑り落ちた。
思わず、閉じた両膝をきゅうっと内側に擦り合わせ、爪先立ちになってお尻の肉を中央にギチギチに寄せ集める。
「看護師さん、なんだか今日、いつもより元気ないね? 大丈夫?」
「えっ!? あ、全然大丈夫っしょ! ちょっと今日、部屋の温度アツくね? 的な……っ、ふふ……っ」
おじいちゃん患者のピュアな心配が、今のゆあにとっては最大の羞恥心という名の拷問だった。
『患者さんの目の前でウンチ漏らしそうになって身悶えしてる』──その事実に、さすがのギャルマインドも粉々に砕け散りそうになる。
さりげなさを装いながら、両手でお尻の穴をぎゅっと押さえつけ、外側からの圧迫でなんとか内側の決壊を食い止めようとする。だが、お腹のなかの質量は容赦なく「出せ、出せ」と出口を押し広げてくる。
「じ、じゃ、お大事に、してくださ……っ、んぅっ……!」
なんとか体温測定を終えたゆあは、今にも決壊しそうな大波を必死で堰き止めながら、深々とお辞儀をした。だが、そのお辞儀の拍子に、さらにずしりと重い感覚が襲いかかる。
体をびくんっと震わせ、お尻を両手でぎゅっと押さえたまま固まるゆあ。
そんな彼女のポケットの中で、PHSが無情な電子音を響かせた。
呪文
入力なし