便意我慢小説0016
外来の第1診察室。30代半ばのベテラン内科医・高橋は、カルテに向かう背筋をピンと伸ばし、いつもの冷静沈着な声で患者に告げた。
だが、デスクの下に隠された彼女の下半身は、およそ現役の医師とは思えないほど、なりふり構わぬ「猛烈な我慢の格好」を呈していた。
月曜の朝から始まった外来診療は、季節外れの感染症の流行もあって大混雑を極めていた。
ノンストップで患者をさばき続け、すでに時計の針は午後1時を回っている。途中で何度も「トイレへ」と考えたが、待合室にあふれる患者の視線を思うと、席を立つタイミングを完全に失っていた。
そして今、高橋の直腸には、これまでの人生でも最大級の、ずっしりとした重い質量(ウンチ)が容赦なく居座り、出口をぐりぐりと押し広げようとしていた。
(くっ……よりによって、このタイミングで……っ!)
お腹の奥底から込み上げるリズミカルな大波が襲うたび、白衣の下で全身に鳥肌が立つ。
高橋は診察椅子のキャスターが動かないよう両足で床を強く踏み締め、お尻の穴をこれ以上ないほどきゅーーーーっと限界まで締め上げた。
いくらベテランとはいえ、彼女も一人の女性だ。もしここで漏らすようなことがあれば、築き上げてきた医師としてのキャリアも、大人の女性としての尊厳も、すべてが文字通り「水の泡」ならぬ「泥の泡」と化す。
「あの、先生……最近ちょっと、お腹の調子も悪くて、ゴロゴロ言うんです」
「……そうですか。では、少しお腹の音を聴かせてくださいね……っ」
皮肉なことに、患者からの「腹痛」の訴えに、高橋は一瞬目の前が暗くなった。
聴診器を当てるためには、椅子から立ち上がり、患者の体に近づかなければならない。だが、いま立ち上がって下半身のロックを解除すれば、その瞬間に背後のダムが決壊するのは火を見るより明らかだった。
(んんぅ……っ、は、くぅ……)
覚悟を決めて立ち上がった瞬間、案の定、ズズズと巨大な塊がさらに一段下りてくる生々しい感触が走り、高橋は思わず「ひあ」と艶めかしい吐息を漏らしそうになった。
それを必死で飲み込み、上半身は極めてプロフェッショナルな動きを装いながら、下半身は完全に内股のまま、両膝をきゅうっと擦り合わせるようにして患者の前に立つ。
しかし、一歩を踏み出した衝撃で、カチカチに固まった先頭集団が非情にも出口の門をゴリゴリと力任せに押し広げてきた。
(あ、ダメ……ッ! 耐えられ、ない……っ!)
患者がすぐ目の前にいるというのに、高橋の理性はついに崩壊した。
彼女は衝動的に両手を後ろに回すと、白衣の上から自分のお尻の割れ目を、手のひらでぎゅううううっと力任せに押さえつけたのである。
「先生……? どうされました?」
「い、いえっ! なんでもありません……っ、ちょっと、腰が、急に、ね……っ」
お尻をみっともなくグッと押さえたまま、内股の足をガタガタと震わせ、もぢもぢと腰をくねくね蠢かせる高橋。
いつもはあんなに冷静で知的なベテラン医師が、真っ赤な顔をしてお尻を必死に押さえ、涙目でクネクネと身悶えしている──。その姿は思春期の少女のような羞恥心の極みだったが、こうして物理的に出口を塞がなければ、次の瞬間に大惨事になるのは確実だった。
呪文
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