【緑深き狩人、捕食の咆哮――狩猟の女神シルヴァリア】
それは生命の緑でも、実りの黄金でもない。昏い紫を帯びた、万物を腐食させる邪悪な影。張り詰めた結界の奥から、大気をきしませるような低い地鳴りが響いてくる。
「……囲まれているようだな」
遙か頭上から降ってきたのは、鈴の音を孕んだ、けれど凍てつくほどに冷徹な声だった。
シルヴァリア。
この大森林の主であり、生命の循環を司る巨躯の女神。
彼女の足元で、地響きに怯えるオオカミや小鹿、そして若き従者は、その圧倒的な存在感に息を呑む。見上げる視界のすべてを、神聖なる巨躯が満たしていた。
だが、その美しい相貌には、いつもの母性的な温もりはない。獲物を冷酷に追い詰める「捕食の女王」の目が、森の奥の闇を凝視している。
彼女は低く身をかがめ、大木のごとき太腿の筋肉を限界まで張り詰めた。編み上げられた巨大なサンダルが、踏みしめた大地ごと腐葉土を爆ぜさせる。
「そこを動くな。これより先は、食物連鎖の枠外の駆除(狩り)だ」
その手に握られているのは、蔦と鹿角が複雑に絡み合う神具――『聖森の銃(ドリュアド・カノン)』。
銃身の隙間から、エメラルドグリーンの燐光が、まるで獣の呼吸のように激しく明滅し始めていた。一発で山を穿つ光の種子が、すでに薬室へと送り込まれている。
――ゴォ、と大気が鳴った。
森の奥、光の届かぬ暗がりから、二対の、歪んだ泥色の巨眼が浮かび上がる。邪神の先遣。空間を歪めながら這い出してきた異形に向かって、シルヴァリアは一切の躊躇なく踏み込んだ。
「母なる大地の緑を侵す歪み……我が胃の腑にすら残さず、噛み砕いてやろう」
巨躯が動く。巻き起こる烈風が、従者の身体を吹き飛ばさんばかりに荒れ狂う。
悲壮感すら漂うほどに張り詰めた表情のまま、彼女は『聖森の銃』を正面に構え、引き金に指をかけた。
銃口から放たれるのは、浄化の閃光か、それとも敵を大地へ縫い付ける茨の檻か。
食の女王による「狩り」が、今、幕を開ける。
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※女神図鑑ばかりやっていたので、たまにはオリジナルに戻ります。ただ、このキャラは口調にまだ迷いがあります(´・ω・`)
※シルヴァリアの設定はこちら→https://www.chichi-pui.com/posts/b908cbc4-ce5a-42ce-a2d9-ede45cb0eb48/
呪文
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