【TSポンコツ女神】第74話 「無敵フレームと、避けられぬ愛」
あぶ著
『異世界帰りのTSポンコツ女神、信仰ゼロから配信で生き残る!』
第74話
「無敵フレームと、避けられぬ愛」より
「あっ! 危ない、エルシアさん!」
雫が、顔を青ざめさせて悲鳴を上げる。見上げれば、巨大な空き箱の雪崩が、俺の頭上へと無慈悲に降り注いでくるところだった。普通なら、頭を抱えて横に逃げる場面だ。
――だが。その瞬間、俺の視界で、世界がゆっくりと色を失い、スローモーションのように引き延ばされていった。
(……来る! だが、遅いな!)
直前まで死にゲーの熱いトークをしていたせいで、俺の脳は完全に『戦闘モード』へと切り替わっていた。
迫り来る巨大な段ボールの角、雪崩の軌道。俺の黄金の瞳が、そのすべてをコンマ数秒の世界で完璧に捉え、弾き出していく。
そして視界の端には、俺の身を本気で案じて手を伸ばそうとしている、愛する妹の心配そうな顔が映っていた。
(安心しろ、雫。お前の自慢の兄……いや、大地の女神たるこの俺にすべてお任せだ!)
俺の脳内で、完璧なシミュレーション映像が再生される。
スローモーションの世界の中で、迫り来る段ボールからあえてスッと視線を外し、心配する雫に向けて大丈夫と言わんばかりに、余裕の微笑みを送ってみせた。
そして俺は余裕の表情で、あえて倒れてくる段ボールの山に向かって、渾身の力を込めて地を蹴った。
「今ですわ……!! どんな理不尽も躱す! 勇気の前ロリですわーッ!」
華麗なローリング(現実にはただの下手くそなでんぐり返し)を繰り出す。脳内シミュレーション通り、俺の身体は空き箱の隙間へと吸い込まれ――
――ドスッ! ゴキャァッ!!
呪文
入力なし