桜色の超回復
満開の桜の下で、ちさとは両手を突き上げて叫んだ。フリルいっぱいの水着姿で、花びらが舞い散る空を仰いでいる。
「これでもかー!ってくらい太陽を浴びて、風を食べて、私は今、無敵になったのだ!」
傍らで茶をすすっていた祖父の源三が、目を細めて笑った。
「ちさとよ、風は食べるもんじゃない。吸うもんだ。それより、そんな格好で冷えないのか?」
「冷えるわけないじゃん!心臓がドコドコ動いてて、体中がストーブみたいなんだから!これが若さの、えーっと……バイタリティってやつ?」
ちさとはその場でぴょんぴょんと跳ね、背筋をピンと伸ばした。
「昨日まで風邪気味だったのが嘘みたい!やっぱりお肉を三キロ食べて、十時間ぐっすり眠ったのが良かったのかな」
「三キロも食ったのか……。まあ、よく食べ、よく寝て、よく笑う。それが一番の薬じゃな」
「そうだよ!おじいちゃんも一緒に踊ろうよ!ほら、ワン、ツー!深呼吸!」
「おっと、わしは腰が……。だが、お前のその、はち切れんばかりの勢いを見ているだけで、こっちまで寿命が延びそうな気がするわい」
「でしょ?春のパワー、全開注入中なんだから!」
ちさとの頬は、舞い散る桜よりもずっと鮮やかな桃色に染まっていた。
呪文
入力なし