エドワードの機械鎧修理記録第5話
ロイ・マスタングの紹介状を手に、エドワードは軍開発部を訪れた。
工場のような巨大な建物。
中には戦車の車体、砲身、銃器、歯車、履帯、装甲板……。
あらゆる金属部品が並んでいる。
エ「すげぇ……。」
そこへ、油で少し汚れた作業服姿の男性が歩いてきた。
開発部員「エルリックか?」
エ「はい。」
紹介状を渡す。
男は一読すると笑った。
開発部員「マスタング大佐の紹介か。まぁ付いて来い。」
案内された先には、さまざまな金属の試験片が並ぶ棚。
開発部員「これは炭素鋼。」
「丈夫だが錆びやすい。」
別の板を持ち上げる。
開発部員「こっちはステンレス系。錆びにくいが加工が難しい。」
さらに軽そうな金属を見せる。
開発部員「アルミ合金。軽いが強度は用途次第だ。」
エドは夢中でメモを取る。
エ「じゃあ、この戦車は?」
開発部員「装甲鋼。銃は用途によって合金が違う。」
「砲身なんか熱にも強くないと話にならん。」
エ「なるほど……。」
説明を終えた男は、エドの機械鎧を見た。
開発部員「……その機械鎧。海でも潜るのか?」
エ「泳いだり走ったりします。」
エ「汗でも錆びるし、海水なんか最悪です。」
男は吹き出した。
開発部員「ははっ!おめーさんも苦労してるんだな。」
エ「まぁ……。」
工場の隅には、役目を終えた大量の金属くずが山積みになっていた。
エドはその前で立ち止まる。
エ「ちょっと借ります。」
パンッ!
手を合わせる。
青白い錬成光が走る。
ガガガガガガッ!!
山積みのスクラップが音を立てて組み上がっていく。
周囲の技術者たちは思わず作業を止めた。
技術者A「おい……。」
技術者B「錬金術か!」
数秒後。
スクラップの山は、一つの試験用フレームへと姿を変えていた。
さまざまな金属を組み合わせた、機械鎧の腕を模した試験モデルだった。
開発部員「……ほぉ。」
エドはフレームを叩きながら独り言をつぶやく。
エ「同じ強度を保ったまま、軽くする。錆びない。加工しやすい。修理もしやすい。」
エ「……全部満たす金属なんて、あるのか?」
男は腕を組んで笑う。
開発部員「最初から完成品を探すな。」
エ「え?」
開発部員「無けりゃ作ればいい。研究ってのは、そのためにある。」
エドはハッとした表情になる。
エ「……そうか。先生も同じことを言ってた。」
開発部員はニヤリと笑う。
開発部員「ようやく研究者の顔になったじゃねぇか。」
エドは試験フレームを見つめながら、ノートに大きく書き込む。
『新合金開発計画 開始』
軍開発部の技術者たちは、若き錬金術師が本気で新しい機械鎧を生み出そうとしていることを、この日初めて知るのだった。
呪文
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