大人への第一歩
シャワー室から響いた絶叫に、母の理恵は慌てて脱衣所に駆け込んだ。
「どうしたの、リナ? 覚醒って……まさか魔法少女にでもなった?」
「笑いごとじゃないよ!見て、この赤い水着!これを選んだのは運命だったんだよ。だって、私の中から『情熱の赤』が溢れ出してきたんだもん!」
リナは濡れた髪のツインテールを揺らし、真っ赤なビキニ姿で胸を張った。しかし、その顔は少しだけ引きつっている。
「情熱の赤ねぇ……」
理恵はリナが指差す先を確認し、すべてを察して吹き出した。
「お母さん、何で笑うの!私はこれから未知のパワーと戦わなきゃいけないかもしれないのに!」
「リナ、それはパワーじゃなくて、お姉さんになった証拠よ。おめでとう」
「えっ、お姉さん? 必殺技が使えるようになるんじゃないの?」
「技は出ないけど、美味しい赤飯が炊けるようになるわね」
「赤飯!? お祝いなの?」
リナは不思議そうに首を傾げたが、母の優しい目を見て、少しだけ誇らしい気持ちになった。
「ふーん。じゃあ、明日からはもっと大人っぽい服も着こなせちゃうわけだ」
小さな肩をすくめて笑うリナの背中を、理恵は温かいタオルで包み込んだ。
呪文
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