電子の相棒
金色の髪を揺らして、マリナがコントローラーを握り直した。目の前の画面には、複雑な図形が忙しなく点滅している。
「手強いって、ただのデータでしょ?」
私は背後から覗き込む。マリナはふふっと笑い、モニターを指差した。
「ただのデータじゃないわ。こいつ、私の指示にわざと反抗するのよ。右に行けって言えば左、止まれって言えば踊りだす。まるで反抗期の子供じゃない?」
「それ、ただの設定ミスじゃないの?」
「まさか。これはね、魂が宿りかけてるのよ。ほら、見てて」
マリナがキーボードを叩くと、画面の中の図形がふにゃりと変形し、こちらに向かって小さく礼をした。まるで「お手上げ」と言っているようだ。
「……ねえ、これ、もしかして私のことバカにしてない?」
「あはは、きっとそうよ。ねえ、このまま育てたら世界征服とかできるかしら?」
「とりあえず、その図形にちゃんとした名前をつけてあげたらどう?」
「名前? そうね……じゃあ、『大将』にする!」
「センスが渋いね」
マリナは楽しそうに、もう一つのコントローラーを私に手渡した。
「さあ、相棒と一緒に遊ぼうよ。この子、まだ甘えん坊でね。ちゃんと構ってあげないと、すぐにエラーで機嫌を損ねるんだから」
私たちは並んで座り、画面の向こう側の「大将」と格闘し始めた。静かな部屋に、カチャカチャという電子音だけが響き渡る。これが私の新しい日常だ。
「よし、今だ! 右へ跳ねろ!」
マリナの掛け声とともに、画面の中の大将が勢いよく飛び跳ねた。今日も私たちは、データと遊ぶことに夢中だ。
呪文
入力なし