水泳特訓
「ねえサトミ。やっぱり家から出るなんて間違ってたかも」
プールの縁に肘をつき、潤んだ瞳でこちらを見上げる
。
「そんなことないよ。ほら、ちゃんと泳げてるし」
「だって、太陽の下って眩しすぎるし、塩素の匂いもするし……それに何より、家で布団を被ってるほうが精神衛生上いいと思わない?」
「それはあなたの自堕落なだけ!」
サトミが笑いながらホースで水をかける。ミズキは頬を膨らませて、さらに水中に沈もうとした。
「もうやだ。帰って冷房ガンガンにしてアイス食べる」
「ダメダメ、あと十往復。それが今日のノルマでしょ?」
「ひどい! 鬼コーチ!」
「はいはい、次はクロールだよ」
ミズキは渋々、水をかき分ける。室内プールとはいえ、こうして光が差し込む場所へ来るのは、彼女にとって大冒険だった。
「これが終わったら、アイス二つ買ってね」
「はいはい、わかりました。だから頑張って!」
再び水飛沫が上がり、静かな水面が揺れる。彼女の小さな挑戦は、まだ始まったばかりだ。
呪文
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