今日は色々見てまわれて楽しかったニャ! 『ネコカノ ーデートを終えてー』
「どういたしまして、コユキが楽しんでくれてよかったよ」カナタ
カナタにとっては、見慣れた街だったが、
コユキのおかげで面白い1日になった。
「あっ夕陽がきれいだにゃ」コユキ
コユキは夕陽に向かって、指差す。
「あっ本当だ」カナタ
太陽は1日の終わりを告げるかの如く、
夜のお月さまと交代しようとしている。
「シフトチェンジか、はぁ、きっと、太陽たちも交代交代で自由を謳歌してるんだろうな」カナタ
「どうしたのにゃ?カナタ」コユキ
「いや、毎日がさ心疲れて、ほら、現代って加速してる気がするんだ何もかも、面白いもの、大切なものを度外視して、みんな、前を向いて、我先に、そういうのうんざりするんだ」カナタ
「ニンゲンって大変にゃね。にゃーたちはのびのび生きてるからわからないにゃ」コユキ
「わからない…か、所詮猫族とニンゲンだもんな」カナタ
「どうしたのにゃ?急におかしくなってるにゃ」コユキ
「はっ!ぼくがおかしいのか、いや、世界がおかしいのか?、じゃあなんで、僕らは生きてるんだ?」カナタ
「心、落ち着かせるにゃ」コユキ
「これが落ち着いていられるか、心情描写と毎日、おもんばかって、へりくだり、誰かに媚びをうって、面白くないものに、面白いといって、取り繕う日々のことかよ!」カナタ
カナタの心はどこかで限界を感じていた。
猫族を受け入れたら、なにかが変わると思っていた。けど、結局は誰かのために、本当の心をかくして生きていた。自分の自由とはなんだ?幸せとはなんだ?を常に考えて、苦しみ、後悔し、生きている。
「はぁ、もう利益のない、ことはするもんじゃないな」カナタ
カナタの仮面がはがれた、
表の仮面は優しさを装った偽善者だった。本音はめんどくさがりで、殻にとじ込もっていたかった。けど、猫族のコユキを受け入れたのは、なにか変わるのではないかという身勝手な希望と期待の観測だった。
その観測をはき違え、期待し、思った予測と外れたとき、彼は苦しみ、絶望した。
これは、読み手側にはわかるわけがない、
他人なのだから、第三者なのだから、
知るわけがないし、知る必要があって、
何の利益がある。
あるのは、後悔と思念と、虚無、
楽しかったことなんて、1つも…
「カナタ!」コユキ
「…」カナタ
彼はうつむき、地面をみる。
誰かに抱き締められたところで、
この暗黒な仮面は誰にも理解されない。
「私の精一杯のエールにゃ」コユキ
「おっ応援するなよ、何がエールだ」
カナタ
カナタの頬が赤くなる。
彼は、照れていた、顔中の筋肉が熱くなる。
「だから、苦しいことは吐き出そうにゃ」
コユキ
「ほっ本当かよ…俺は知っている、他人はどうせ、嘘や社交辞令をはくって」
カナタ
「すきじゃないやつにハグすることはあるのかにゃ?」コユキ
「それは、嘘や打算の可能性もあるだろう」カナタ
「じゃあ、恋する気持ちは嘘なのかにゃ?」コユキ
「そっそれは…その、わかんねぇーよ!」カナタ
「じゃあ、私がハグするにょは愛にゃよ」
コユキ
「愛…か…簡単に言ってくれる!反吐がでるぺっ」カナタ
カナタは素直になれない、かつて、裏切られた過去があるから、ヒトの怖さは、幽霊の何倍よりも怖い、生きてるから、実態があるないの話じゃない、憎悪が可視化されて見えるからだ。カナタはヒトの感情を察するのにたけていた。細かい点を見つけるのが得意ゆえに、嫌われた。
そして、何も言わなくなった。
間違ったことがあっても、指摘すれば矛先が向けられる。
刃が向けられるくらいなら諦めよう、
でも、せめてなにか変えられるならと
猫が好きなカナタにとって、
猫族との交流はいいきっかけになるのではと思い、参加したのだ。
コユキは彼を離さない。
彼の心の闇に寄り添いたいと思ったから。
優しい人は、ガラスのように繊細で傷つきやすい。
ちょっと触れれば、壊れるくらいに、
人は、彼を弱いと言うだろう。
けど、コユキはそんな彼をただ
だまって抱き締める。
かつて、自分が泣いたとき、
親にハグしてもらったように
コユキはカナタを抱き締める。
コユキとカナタは黙る。
都会の喧騒と視線を置き去りに、
2人は、言葉のない、気持ちの
模索をしていた。
呪文
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