Yuiちゃんに救出されるSayaちゃん
突如ガラスの割れる音が部屋中に響いた。
Sayaがハッとして顔を見上げると、窓ガラスを割って部屋に飛び込んでくる幼馴染のYuiの姿が見えた。
「ここかぁ!」
Yuiはそう叫びながら男に蹴りかかる。
「オラっ!!」
Yuiは着地からの予備動作で下から男を蹴り上げようとする。
「うわわ!!!」
ヨタヨタとSayaから離れた男は紙一重でYuiの蹴りを回避する。
Yuiの蹴り上げた足がブンっと空気を裂く音がした。
アレに蹴り上げられてはひとたまりもないだろう。
(そう言えばYuiちゃん昔は空手やってたな…)
Sayaはボンヤリとそんな事を回想しながらYuiの動きを見ていた。まだ思考が本調子ではない。
「Sayaちゃん!大丈夫!?」
距離をとった男を見てすかさずSayaに声をかけるYui。
「Yuiちゃん…どうしてここに?」
Sayaは何故ここにYuiがいるのか分からず、疑問を口にする。
「街でSayaちゃんがキッタナイ男に連れて行かれるの見えたから、念の為声かけようと思ったら見失っちゃって、でもSayaちゃんの叫び声聞こえたから!」
Yuiは若干興奮しているのか説明が拙かったが、おかげでSayaは徐々に意識を落ち戻しつつあった。
「その人に…脅されて…それで…。」
事の次第をYuiにそう伝えるとYuiは全ての事情を把握したのか表情が一段と険しくなり男を鬼の形相で見据えた。
「テメェ…よくもSayaちゃんに!」
「お、お前は誰なんだよぅ?窓ガラスを弁償して、も、貰うからなぁ!」
男はたじろぎながらYuiに言い放つが、完全に腰が引けている。
Yuiの尋常ではない様子に完全に気圧されていた。
「寝言は寝てから…」
Yuiが男に向かって跳躍する。刹那
「言えッ!!!!」
Yuiの繰り出した飛び蹴りが見事に男の顔面を捉える。
宙に舞う男、その目からは意識の光は消え失せていた。
「ふーっ…。」
着地したYuiは残心しながらも呼吸を整える。
SayaはYuiの綺麗な飛び蹴りに思わず子供の時にやった格闘ゲームのキャラみたいだと思った。
「ん…気失ったみたいだからもう大丈夫だよ。Sayaちゃん大丈夫?」
改めて近寄って来たYuiは優しくSayaに声をかける。
「男に…その携帯でいやらしい動画を撮られちゃって…消してもらおうと思って…それで…うう。」
先ほどの悪夢のような出来事を思い出したのかSayaは咽び泣いてそれ以上言葉を続けられなかった。
Yuiは優しく背中を撫でてやりながら、男のケータイをみとめると、スッと立ち上がりケータイを勢いよく踏み潰し真っ二つにした。
ついでにノートパソコンとソレにつながっているHDDも踵落としを二、三回決めて粉々にしておいた。
「ったく男ってのはしょうもない事する奴が多すぎる。…Sayaちゃん立てる?うち行こう。シャワー貸したげるから、そこでまた詳しく話聞かせて?」
Yuiの家とSayaの家は比較的近いのだが助けてもらって詳しい経緯を話さないのも不義理な感じがしたSayaは大人しくYuiの好意を受けることにした。
Yuiの家に着くなり、お風呂に通されたSaya。
他人のお風呂場を借りることなど滅多に無いので少し緊張したが、それよりも今は一刻も早く身体を洗い流したかったので嬉しかった。
脱衣所ではYuiがSayaの制服を洗濯してくれているようで、忙しなく物音が聞こえている。
そんなYuiにSayaは静かに話しかけた。
「ありがとうねYuiちゃん。…あのまま助けに来てもらえなかったら私どうなっていたか…。」
今思い出しても寒気のする状況だった。
Sayaは我知らず自分の肩を抱きしめる。
あのままYuiが乱入して来なければ自分はずっとあの男に…。
すると明るい調子でYuiの声が帰ってくる。
「別に気にしなくて良いって。ホントたまたま気づけて良かったよ。あのヤロー!」
Yuiの怒る顔が目に浮かび思わず笑みが溢れるSaya。
Yuiちゃんらしいな、そう思っているとYuiから質問が投げかけられた。
「…あのさ、言いにくかったら良いんだけれど、何で脅されてたの?」
Yuiからの疑問はもっともだろう。
自分がYuiの立場なら気になる。
正直他人に話すのは憚られたが、他ならぬYuiの質問だ。Sayaは包み隠さず真摯に答えようと思った。
「その…実はね…私オクダくんとその…この間恥ずかしい格好して…その…Hしたんだよね。」
その言葉を聞いてYuiは冷や水を浴びせられたような感覚に捉われた。
え?は?ドユコト?
「それでソレを隠しカメラで撮られてたみたいで…しかも他にも動画は沢山あるって脅されてて…それで従うしか無かったの。」
事の顛末を聞かされたYuiだったが正直後半部分はあまり頭に入らなかった。
ちょっと待て、オクダくんとSayaが、えええ!?
「ちょ、ちょっと待ってとりあえずシャワー浴びちゃって?すごい事聞いたから詳しく話したい。出たらアタシの部屋で続き話そ?」
Yuiはそう言うとそそくさと脱衣所を後にしたようだった。
慌てていたようで何かにつまづく物音とYuiの「あだっ!」っという声が聞こえて来た。
「だ、大丈夫Yuiちゃん!?」
あまりの物音に声をあげるSayaだったがいつもの調子で「へーきヘーき」と遠くから声が帰ってくるだけだった。
一人風呂場に残されたSayaはて早く身体を洗う。
「Yuiちゃん急にどうしたんだろう?」
Sayaは自分がYuiとオクダとの間に発生している問題にまだ気がついていないようだった。
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