キンタマ遺跡
潮と風だけが往復したこの島には、
誰にも観測されなかった文明の残渣が静かに眠っていた。
崩れた石柱は、
評価も記録も受けなかった時代の骨格。
そこに刻まれた文様は、
読む者を想定していない文字だった。
遺跡の中心に祀られているのは、
金の球体。
それは「遺物」ではなく、
文明が存在していたという事実そのものの凝縮。
黄ぽにちゃんは理解する。
これを持ち帰れば、
文明は“発掘された過去”になる。
だから彼女が選んだのは、
球体そのものではない。
遺跡に満ちていた、
観測されなかった記憶の波動。
それだけを胸に刻み、
島を後にする。
文明は、
まだここにある。
語られなかったまま。
呪文
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