錆びた手錠と海のプリン
マリンは自分の両手を前に突き出して、銀色に光る手錠をじっと見つめていた。
「ルル、大変。すごく困ったことになっちゃった」
心の中で念話を送ると、隣をスイスイ泳いでいた親友のルルが呆れた顔で振り返る。
「どうしたのマリン。水中で手錠なんてはめて、何の遊びよ」
「手品師の真似をして格好よく脱出しようと思ったんだけど、錆びてロックが動かなくなっちゃった」
「またおバカなことを……。早く鍵を使いなさいよ」
「それが、その鍵、さっきあそこのサンゴの隙間にポロッと落としちゃって……」
マリンは気まずそうに、白いワンピースのフリルを小さく揺らした。
「はあ。海の種族だから息が続くとはいえ、おっちょこちょいね」
「そうなの! それに息は平気だけど、このままだと大好きなプリンが食べられない!」
「心配するの、そこなんだ」
ルルは思わず吹き出した。
「仕方ないわね。あっちの岩場にいるカニさんにハサミで壊してもらいましょう」
マリンはほっと胸をなでおろし、ルルと一緒にゆっくりと泳ぎだした。
呪文
入力なし