きつねうどんの行方
畳の上で膝を抱え、コンはぷくーっと頬を膨らませました。今日は隣町のお社から、仲良しのカリンが「絶品のお揚げ」を持って遊びに来る日なのです。
「お湯、もう三回も沸かし直したのですよ? コンの情熱はもう沸点を超えて、蒸発してしまいそうなのです」
独り言が静かな部屋に響きます。窓の外では桜の花びらがのんきに舞っていますが、コンの耳はピクピクと落ち着きなく動いています。
「まさか、途中で美味しい匂いに負けて、自分でお揚げを食べてしまったのでは……。あ、ありえる。あの食いしん坊ならやりかねないのです!」
コンは想像の中で、カリンがもぐもぐとお揚げを頬張る姿を思い浮かべ、さらに尻尾を激しく左右に振りました。その時、パタパタと廊下を走る足音が聞こえてきました。
「お待たせコンちゃーん! 途中で道端のタンポポがあんまり綺麗だったから、つい見惚れちゃって!」
息を切らして飛び込んできたカリンに、コンは精一杯の「お怒り顔」を向けました。
「遅いのです! コンはもう、待ちすぎてお腹と背中がくっついて、一枚の薄いお札になるところだったのですよ!」
「ごめんね、ほら、お詫びに特大のお揚げ二枚入り!」
「……ふん。今回だけは、その黄金色の輝きに免じて許してあげるのです。さあ、早くお湯を沸かすのです!」
結局、怒っていたはずのコンの尻尾は、嬉しさのあまり扇風機のように回り始めてしまうのでした。
呪文
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