苺とマカロンとお菓子な要塞
ふわふわのピンク色のクッションに囲まれたモナが、頬を膨らませて叫んだ。ツインテールに結んだ大きな緑のリボンが、怒りに合わせてぴょこぴょこと跳ねる。
「ごめんって。でも、そんなにマカロン並べて何してるんだ?」
ドアの隙間から覗き込む兄に、モナはガーターリングを整えながら胸を張った。
「見てわからない?ここは聖域なの。甘い香りと、このふかふかの感触。誰にも邪魔されない、私だけの特別な陣地なんだから!」
「へえ。聖域だか王国だか知らないけど、その割にはお皿の苺、もう半分なくなってるけど。全部なくなったら、この国も滅亡か?」
「……うっ。それは、その、王国の維持には栄養補給が必要なのよ!苺がなくなるのは、国家予算が底をつくのと同じくらい一大事なんだから!これがないと、私の心の平穏が保てないの。ほら、あっち行って!」
モナは手近にあったハート型のクッションを抱え込み、さらに深く「要塞」へと潜り込んだ。パステルカラーのマカロンが、まるで地雷のように周囲を固めている。苺の一粒一粒が、彼女にとっては領土を守るための貴重なエネルギー源なのだ。
「わかったよ。じゃあ、母さんが焼いたアップルパイは俺が全部食べちゃうけどいいんだな?」
「えっ、アップルパイ!?待って、それは話が別!国民として、新たな資源の確保と調査は避けられないわ!」
さっきまでの威厳はどこへやら。モナは慌てて立ち上がろうとして、足元のマカロンを踏みそうになり、おっとっとと奇妙なダンスを踊った。
「やっぱり食い意地には勝てないか」
「うるさいわね!パイを食べたら、またここに戻ってくるんだから!」
モナはぷりぷりと怒りながらも、甘い誘惑に負けて要塞を後にするのだった。
呪文
入力なし