魔王軍撃退戦:灰髪エルフと鮮血魔術
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空は青く晴れ渡っていたが、魔王軍との争いに巻き込まれた町は騒然としていた。通りの先の大きな神殿まで辿り着けば、名乗らずの姫とクリステル令嬢の安全は確保できる...というところで、3人の冒険者は背後の騒ぎに振り返った。
街を護る兵士や冒険者たちを蹴散らし、ゆっくりと進んでくる巨大な影。分厚い全身鎧、大きな両手剣、兜の間に見えるのは目のような光のみ。昼間だというのにその周りには暗黒の瘴気が満ちている。逃げる周囲の人々が口々に、“恐ろしい冥府の騎士だ”と囁き合っていた。
「“冥府の騎士”...? あちらの世界でぼくたちが戦ってきた、死の騎士や影の騎士みたいなものでしょうか」
魔法の槍を携えた青の公子アリアンが尋ねる。
「ええ。魔王軍の精鋭は“暗黒騎士”と呼ばれているとも聞きますが、鎧の中身は人間や魔族や人型種族、血肉のある存在です。あれはどう見てもこの世のものではない...魔王軍はあのような手合いまで用意しているのでしょうか。なんとも面妖な...主よ、これは厳しい戦いになりそうです」
巡礼騎士ローリエが剣に手を掛ける。だが二人を制し、前に出た人物がいた。暗青のローブに身を包んだ魔術師オルウェンである。
「剣には剣を、毒には毒を。暗黒の技には暗黒の技で応じましょう。丁度良い機会です。私に考えがあります。あれを奴にぶつけてみましょう」
何事かと顔を見合わせる二人に、怜悧な容貌の眼鏡の青年は続けた。
「珍しい魔導書を読みましてね。遠い異国の吸血鬼一派には、自分たちの血を触媒とした一族のみに伝わる特別な魔術...『鮮血魔術』と呼ばれる技を使う一族がいると。とても珍しい系統の魔法です。今回はこれを使ってみます。展開用の術式は既に準備済みです」
秘密の言葉を小さく呟くと、たちまち路上に赤い線で描かれた魔法陣が現れた。
灰髪エルフの魔術師は、隣町の祭りの市場で手に入れた赤い魔法石を取り出した。それは魔法陣の上で粉々になり...欠片が魔法陣に降り注ぐと、赤い光は一層強まった。魔法陣を描く線がさらに複雑になり、様々な秘密の紋章が新たに浮き上がっていく。
「然り、然り、然り...よろしい。私の推測通りです。これで、鮮血魔術の儀式魔術と等価の状態が作り出せました。ここに触媒を加えれば実行できます。なに、私のような半端者のエルフの血など使いませんよ」
悪の妖術師のように意地の悪い笑みを浮かべると、半エルフの魔術師は赤黒い液体が入った小瓶を取り出した。
「いつぞやの冒険で手に入れたものです。この中身は世にも珍しい吸血鬼の血だといいます。貴重品ですが...まあ今ぐらいしか使い道はないでしょう。ここで使いますよ」
仲間たちの顔を見て頷き合うと、瓶の中身を降り注ぐ。赤黒い液体は石畳の上に飛び散ると思いきや...まるで火に注がれた油のように、魔法陣の上で赤い炎の如く燃え上がった。赤みを帯びた魔法のオーラは踊るように燃え盛り、どんどんとその勢いを増していく。
「これで触媒は正しく与えられました。騎士殿、アリアン君、しばらく援護を頼みます。ここで詠唱を完成させます」
赤い魔法陣を構わずにブーツで踏み、片膝をついたオルウェンは陣の中央部、花のような不思議な紋章に素手で触れた。途端に魔法陣の輝きが一層強まった。魔術師の口から、古い魔法の言葉、エルフに伝わる秘密の言葉、夜の種族のみが使う秘せられた言葉、幾つもの言葉が混じり合った詠唱が漏れる。
「...我ここに請い願う。萎れることなき花の紋、呪われし者の血、条件はかく揃いたり。夜の帳の奥深く、秘密の門の奥の奥、一族の円の内の内、隠された御業を明かし給え。我は日光に背きし同志にあらず、されど同じく真理を探究する者。階梯の上の上、一族の怨敵を滅ぼす御業のひとつを授け給え。約定によりて妖精の王より借り受けし武具を呼び出し給え」
魔力の赤い炎は大きく燃え上がり、松明やかがり火よりももっと大きく、周囲を照らすほどになっていた。立ち上がると群青色の瞳を光らせ、近づいてくる冥府の騎士を睨み、魔術師は最後の言葉を乗せた。
「ーー来たれ、《妖魔の剣》よ」
赤い炎が高く燃え上がり、もはや人では扱えぬほどの巨大な剣が、夜の光を帯びた不可思議な剣が現れた...
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という一幕ということで...
ぷい丸さんのユーザー企画「#魔王軍を阻止せよ」に参加の3作目は、ジト目エルフのオルウェンさんのシリアスな詠唱シーンなのです。
オルウェンのおしくらカード→ https://www.chichi-pui.com/posts/7fd7f224-3b6e-449b-988d-eab7b1ae4251/
・今回も膝をついたポーズのアクションシーンで...ということで on one knee, fighting pose でいろいろ試しました。chanting magic と magic circle があるといろいろなところに魔法陣が出現します。様々な色の aura を指定すると人物の周りにオーラが現れることもありますが、今回の状況だと魔法陣の周りに出ることが多かったです。
・表情はV字眉でドヤ顔っぽい笑みになる >:) を指定しているのですが、不機嫌な表情になるfrownがあるとそちらが勝って、おこな顔になりました。暗黒の御業、珍しい強力な呪文を使って強大な敵を打ち倒すシリアスなシーンということで...( ˘ω˘ ).。oO
・マイナーチェンジとしては、絵の左下にいるちびキャラ、これもまだ不安定だったSD1.5の頃の最初に創ったもので今と差が大きくなっているので、SDXL版ということで作り直してみました。✨
モデル:Shiitake-Mix v2 アプスケ1.2倍+加工
フォント:Great Vibes
おまけ:
様々な色の魔法陣を創り出しているオルウェンさんです。最後の1枚が新ちびキャラです。
【追記】ランキングはいつものようにおんにゃのこで賑やかな中...敢えて男キャラで見参ですぞ(^ω^)
2025年7月6日のデイリー13位、SDXLで7位達成!✨物語にご来訪ありがとうございました~
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
イラストの呪文(ネガティブプロンプト)
- Steps 60
- Scale 7.5
- Seed 4254629994
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0.65
- Noise
- Steps 60
- Scale 7.5
- Seed 4254629994
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0.65