気象観測・調節衛星の最期
「衛星は修復不可能な迄に魔物に侵蝕されている。予定通りの接近の時間になったら即座に破壊して下さい」
「……了解しました」
「此方も了解しました」
二人は通信が一旦終わると、破壊の為の手順を確認した。而して、時間になると宇宙へ飛び出し、衛星へ向かった。
衛星は溜め込んだエネルギーをビームとして放出し攻撃してくる。モルトぺの魔法で跳ね返すもかなり強力なものであった。
その時、モルトぺは「彼」が衛星から飛び出してくる様子を幻視した。幻覚魔法と見破ったが、其れを一旦は受け入れることにした。抱き合うなり、「彼」は言う。「その姿であるが為に必死に国に尽くしてきた結果が此れとはね」と。
「其れが周りから押し付けられた事であっても、実際に行動したのは僕だ」
モルトぺの反論に、「彼」は笑う。
「自分の事にも向き合えずに、後先考えず行動したのだろう」
「其の通りだ。だが君は僕の選択の、もう一つの理由が理解できていない。自分の力が他人の為になると云うのなら身を捧げてもすることを」
「何と愚かだ」然う「彼」は大声を上げた。「しかしそれが『君』か」
「彼」は急にモルトぺを抱く腕の力を強めた。抱き合ったモルトぺと「彼」との和解の様な、束縛の様な時間は、衛星の本体をミサイルが突いた事で終わった。ミサイルは「彼」を生み出した、モルトぺを複製した医師が摑んでいた。モルトぺと「彼」との会話の間、ずっとミサイルを調節していたのだ。
ミサイルが光り輝く。――浄化魔法だ。
「君は、元居た場所に帰りなさい」
モルトぺの方にだけ、少しだけ違う魔法の光が届く。この世界で受けた穢れを全て禊いで、その別の魔法の効果が発揮され始めた。感覚から大気圏再突入の熱が消えていく。
……その時の光はサラトバの何処からでも見えたという。而してその後、三人の姿を見た者はいなかった。
呪文
入力なし