煙で虫除け
焚き火の炎が、ゆらゆらと揺れている。
暖かく心地よい――けれど、その温もりの裏で、森の夜はすでに別の営みを始めていた。
ブンッ…と虫が、目の前に飛んできた。
「わっ!!…やっぱり夜は虫が多いな……」
耳元をかすめるような羽音。
火のそばにいれば安全かと思っていたが、完全ではない。
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【サバイバルにおける虫の危険性】
ダニ(マダニ)
・皮膚に吸着し、血を吸う。
・日本ではSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの致死率の高い感染症を媒介する恐れも。
・長時間気づかずに噛まれていることがある。
ムカデ
・噛まれると強い痛みや腫れ、発熱を引き起こすことがある。
・寝床や靴の中に潜むことも多い。
蚊
・刺されるとかゆみだけでなく、感染症(日本脳炎、デング熱など)のリスクもある。
・睡眠の質を著しく下げる。
アブ・ブヨ(ブユ)
・刺されると強烈に腫れる。場合によっては化膿や感染症の原因になる。
・痛み・かゆみも強く、特に目や耳の近くは危険。
ハチ
・スズメバチなどは集団で襲ってくることもある。
・アナフィラキシーショックを起こす可能性があり、命に関わる。
ヒル(ヤマビル)
・気づかないうちに皮膚に吸着して血を吸う。
・ヒルの唾液に含まれる成分で出血が止まりにくくなることも。
ゴキブリ・ガなどの夜行性昆虫
・寝ている間に身体を這うことも。精神的ストレスに。
・不衛生な環境で繁殖しやすく、病原体を媒介する可能性もある。
その他、危険な虫は無数に存在する。
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「寝床も……まさか、虫が入り込んでたりして……?」
落ち葉や枯れ草を積み上げてつくった簡易寝床。
柔らかく、断熱性もあって、悪くはない出来――けれど、それは虫にとっても居心地の良い場所かもしれない。
「……寝ている間に中から蜘蛛とかムカデとか出てきたら……嫌だな。」
ザックの中から指南書を取り出した。
「煙って、虫除けになるって聞いたけど……。ほんとかな?」
ページをめくると、そこには焚き火の煙を利用した簡易的な虫除けの方法が載っていた。
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【煙による虫除けの仕組み】
・煙には、虫の感覚器官(嗅覚・触覚)を鈍らせる効果がある。
・蚊やブヨ、ヌカカ、ハチなどは煙を嫌って近寄らない傾向が強い。
・特に「細かくて白い煙」が効果的で、湿った葉や生木を少し加えると煙の量が増える。
⚠️ただし、燃やしすぎると煙たすぎて人間にも悪影響が出るので、注意。
【焚き火の煙で寝床を燻す方法】
・落ち葉や藁、湿った枝などを少しずつ火に加え、煙を多めに出す
・煙が寝床にゆっくり漂うように風向きを意識して煙を炊く。
・直接火が寝床に当たらないよう距離を確保しつつ、じんわりと煙で包み込む
・煙があたっている間に、虫たちが逃げ出してくることもあるので、寝る前にしっかり確認!
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焚き火の火加減を調整しながら、湿った落ち葉を少しだけくべた。
ふわりと立ち上る白い煙が、風に乗って寝床の方向へ流れていく。
「よし……このまま、寝床を燻しておこう」
寝床の周囲に小さく灰を広げて、燃え残りの炭を並べる。
「こっちでも、じわじわ煙を出して……」
風に乗って、寝床の中まで白い煙が入り込んでいくのを見届けながら――彼女は軽く頷いた。
「寝床は、よし…。このまましばらく燻しておいて……」
手元の指南書をめくりながら、小さく眉をひそめた。
「虫が多い場所では、煙を自分にも浴びるといい……って書いてあるけど……」
少し顔をしかめながら、立ち上がる。
「つまり、私自身も……燻されなきゃいけないってことだよね……?」
焚き火の近くにしゃがみ、湿った枝をくべて、煙をふわりと増やした。
風下にそっと移動し、立ち上がる。
「……いざ、虫除けスモークシャワー……」
薄く立ち昇る煙の流れに身を任せるように、腕を広げてそっと回転。
「……うっ、ちょっと目にしみますね……でも……ぐっ、がまん、がまん……!」
前から、後ろから、煙に包まれるようにゆっくりと歩く。
一歩引いて背中を向け、服の隙間や髪にも煙が行き渡るようにする。
「これで…私自身にも虫が付きにくくなるはず……」
指南書には、“煙で虫除けをする場合は、なるべく髪・袖口・足首周りまで煙を浴びるように”とあった。
「……ふぅ……ちょっと、燻製になった気分……」
けれど、ほんのりと肌に残る煙の香りは、不思議と安心感を与えてくれる。
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【自分を煙で燻すメリットと注意点】
◎効果
・煙の成分で蚊やブヨ、ダニなどを寄せつけにくくする
・特に首筋・袖・足首など、虫が入り込みやすい部位に煙を当てるのが有効
・衣服の繊維にも煙の匂いが残るため、虫除け効果が持続しやすい
△注意点
・煙を吸い込みすぎると喉を傷めるので、深呼吸しない
・目にしみるので、顔を直接煙に突っ込まない
・肌が敏感な人は、かゆみや刺激を感じることもある(※無理はしない)
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煙が静かに風に流れていく――
その中で、両腕を開いてくるくる回る室井ちゃんの姿。
「ふふ…『室井の燻製』の完成っ」
そう言って、軽く微笑む。
焚き火の火は、まだ赤く揺れている。
夜の森に、少しずつ静寂が戻りつつあった。
最後におまけの「室井の燻製」を置いておきます
呪文
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