機械化歩兵、修理調整中
「確かに機械化歩兵単価は高い。しかし戦闘装甲車には3人の乗員が必要となる。その乗員の訓練費用、それを指導する教員費用、そして正規軍人の給与が必要になる。しかし、最も大きな問題はその戦闘装甲車が破壊され乗員が全員戦死した場合の慰労金、遺族年金は遺族が死ぬまで支払うことになる。そして、その補充に更に別の兵士を訓練し指導し、新たな戦闘装甲車を用意する必要がある。」遠藤少佐が発言した。
「それなら、機械化歩兵でも戦闘装甲車を用意するのは費用的に同じではないのか。」質問者が言った。
それを聞いて、遠藤少佐は少し笑ってから答えた。
「確かに車両代は同じだ。しかし、あなたは重要なことがわかっていない。機械化歩兵には訓練の必要がないからだ。既に機械にその動作・操作は組み込まれている。破損しても胸部のメイン部分が破壊されなければ修理は可能だ。頭部、両手、両足がすべてなくなっても修理可能だ。最も元の性能までは戻らないが、後方支援として活用すれば現場を知る有能なサポーターになる。」遠藤少佐は言った。
「しかし、修理費は車両の半分相当と聞いている。修理するにしても高いし、完全に直る保証がないのはいかがなものか」
質問者は軽蔑な笑いをした。議会内にも失笑の声が上がる。その笑いが無くなるまで待ってから遠藤少佐は口を開く。
「では申し上げるが、兵士の戦時後メンタルはどうであろうか。戦時後はメンタルに悩む兵士は多い。その対策費、遺族への説明配慮の対策費。そして最も重要な事項は、占領地での略奪、暴力、強姦による兵士行動管理である。機械化歩兵にはそんな感情はない。帝国での悪評は占領地での兵士の暴走問題が多い。それによって各自治都市への説明対応、補修費用が発生する。その額は見えないだけで莫大である」
議会内が静まり返った。そうなのだ、一般兵士の略奪行為の対応は費用が最も高くつくし、外交問題にまで発展する。占領地での平民とのトラブルは金がかかり、駐屯軍へのゲリラ攻撃の種になる。
シーンと静まり返った議会内に、薄笑いを浮かべた遠藤少佐は続ける。
「ああ、言い忘れましたが、彼女達(機械化歩兵)には正式に給与はありません。慰労金もありません。そして遺族もいません。彼女らは任務を全うしております。第一機械化歩兵部隊は半年前に無理な殿軍として全滅・・・まあ・・・止めましょう。議長、回答を終わります」
遠藤少佐の低い声に質問者も議会内も何の発言もなく沈黙した。
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