いつもの週末
いや――夫婦になるはずじゃった、じゃな。
許嫁だったのだ。
小さい頃から村で一緒に育って、仕事も二人で助け合っておった。
週の終わりになると、あの娘はよううちへ来てな。
皆で夕飯を囲んで、そのまま泊まっていくことも珍しくなかった。
素直で気立ての良い子じゃったから、家の者は皆、あの娘が家族になる日を楽しみにしておった。
まさか、孫の方が先に向こう岸へ渡るとは思わなんだがな。
あの日から、あの娘は一人になった。
……いや、一人になったのはワシらも同じか。
それでもあの娘は、うちへ顔を見せてくれる。
来なくなったところで誰も責めはせん。
新しい人生を歩んだって構わんのじゃ。
それでも墓前に手を合わせて、婆さんの作った飯を食べて、昔と変わらん笑顔で帰っていく。
きっと、あの娘なりの義理立てなのじゃろう。
ありがたいことじゃ。
あの娘が笑うと、あやつもどこかで笑っておるような気がしてな。
だから願うのじゃ。
あの娘には、これから先も笑っていてほしい。
そして、もし新しい幸せを見つけたなら、それを掴んでほしい。
ワシらのことなど気にせずにな。
……まあ。
たまには顔を見せてくれたら、爺としては嬉しいがのう。
———
↓関連作品「この流れの行く先で」
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