二人だけのエピローグ
この星に集った、いや...集められた新しい住人達の力が、祈りが、結束が、 "私だったもの" を討ち滅ぼしたのだろう。
彼らがこの後どうしていくのかはわからないが、この星が始まって以来、誰も成し遂げなかったことを成し得たのだ。
きっと望んだ結末をその手に掴めるだろう...
最期に自我を取り戻すことができたのは――――――きっと罰だ。
身体が少しずつ白い粒子へと消えていく中、星を見渡す。
新しい生命と活気と力強さに溢れ、強い絆で結ばれた素晴らしい人々...
あぁ...でも、私の愛した "みんな" ではない...
そして...いつも私の手を引いてくれたあの子も...もう...
涙が頬を伝う。やっぱりこれは罰だ。
自らの身体が犯した過ちを目に焼き付けろと、奪った全ての者たちから言われた気がした。
何より、私自身が一番私を赦せないのだから...
「あら、泣き虫さんはこんな時でも泣いているのね?」
「――――――!! なんで...?」
彼女は暴走した私の最初の被害者だったはずで...目の前にいるはずが...
「馬鹿ね。共に生まれたあの時から、私が貴女に後れを取ったことが一度でもあって?」
「...う”っ..ぐすっ...ごめんなざい!!」
衝動的に彼女の胸に抱き着いた。
もう二度と会えないだろうと思っていた最愛の家族の登場に、流していた涙はその意味を変え、そして号泣になった。
そこは彼女と違ってよく泣いていた私の定位置で、その光景は失われたはずの日常の情景だった。
「よしよし...この星を最も愛していたのは貴女だもの。貴女の意思じゃなかったことぐらい、みんなわかってくれるわよ」
「ぐずっ...うん...でも...私は取り返しのつかないことを...」
これは、救いだ。
一番言って欲しい言葉を、一番言って欲しい人からもらえる。
私はそんな綺麗な最期をもらっていい立場じゃないのに...
「良いのよ。悲しい涙を流す女の子がいるハッピーエンドなんて認められないわ。 まぁ...どのみち私たちはエンディングには参加できないでしょうけれど...」
そう言った彼女の身体は少しずつ白い粒子になって行っている。
驚きながら顔を見ると、困ったような表情をしながら微笑んでいる彼女と目が合った。
「さっきは恰好付けたのだけれど、私ももう限界なの。 貴女に会いに来れたことさえ奇跡ね」
「そっか...」
「私たち双子は、生まれも終わりも一緒よ」
「うん...」
これは誰も知らない二人だけのエピローグ。
手を握り合った少女たちは、やがて白い粒子へと変わっていき、二筋の流星として明けの夜空を流れる光となった。
そして、エンドロールが流れ出す――――――
呪文
入力なし