任務の連絡手段
ギルドの中で、知性ある魔鳥の扱いに長けた者として知られる彼女は、新たな任務役に選ばれました。
──セントレイクの精鋭達による、シラクレナ調査ミッション。
その作戦名だけでも、冷や汗が彼女の背中を伝いました。
彼女の仕事は他のギルドメンバーから評価され、信頼も厚い。
それ故、彼女にこの重大な使命が託されたのでした。
「こんなに可愛い子が、こんな任務につくなんて…
大丈夫かなぁ…」
彼女はギルドの仲間たちの心配そうな視線を感じつつ、
懐かしい友である魔鳥の一羽にそっと手を伸ばしました。
彼女が呼びかける可愛い子とは、この鳥のことです。
知性の宿るつぶらな瞳、ふわふわの青い羽毛。
少しだけ人の言葉を話すクチバシ、意外と鋭い黒い爪。
この青い鳥は、彼女の忠実な仲間であり、友であり、
そして連絡手段として最適な存在でした。
ギルドメンバーたちは彼女の決断を支持し、
ミッション達成に向けての作戦会議が始まりました。
彼女と青い鳥が調査の地へ向かい、
そこで知った情報をすべて青い鳥に託し、
先にセントレイクへ帰還させる。
今選べる手段の中で、これが最速の連絡方法です。
そして、青い鳥に特別な魔道具を装備させる準備が始まりました。
その魔道具は、彼女が長年の冒険で手に入れたもので、とても高価な品々です。
もし無事帰還し、それらの魔道具を売却したのなら、王都に一軒家が建つほどだとか。
一度装備した魔道具は、その者以外は装備出来なくなる…
魔道具は、所有者の魂に刻まれ、はじめて守りの効果をもつものだから。
その為、装備したその瞬間、金銭的価値はなくなってしまいます。
彼女はその魔道具を使うことに何の躊躇もありませんでした。
このふわふわで愛らしい、大好きな青い鳥の命を守ることができるなら、
アイテムボックスが空っぽになったって構わない。
彼女は心からそう思っていたのです。
彼女はセントレイクに借りたギルド拠点の屋根に立ち、
青い鳥を自分の手から飛ばしました。
すると青い鳥は空高く舞い上がり、すぐに彼女の指示に従いました。
その瞳には知恵と信頼が宿っており、青い空に美しい鳴き声が響き渡りました。
「シラクレナ、私たちの目的地…さぁ、行こう!」
彼女は青い鳥に言葉をかけ、屋根から飛び降り、駆け出しました。
彼女はセントレイクの平和と、青い鳥の安全を守るために、
共に調査の旅路へと身を投じました。
呪文
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