火野神社水泳部 オープンウォーター編第1話
まことはテレビの前で釘付けになっていた。
画面には、何百人もの選手が一斉に海へ飛び込む映像。
実況「オープンウォータースイミング10kmです!」
ま「すごい……海を10km!?」
さらに続いてトライアスロンの映像。
ま「水泳して、自転車乗って、そのあと走るの!?」
目を輝かせるまこと。
その日の夕方、火野神社。
ま「というわけで、みんなでやろう!」
ら「嫌だ。」
即答。
ま「早っ!?」
ら「海はなぁ……色々あんだよ。」
レイ「昔、本当に大変だったものね。」
ら「溺れるわ、流されるわ、お股痒くなるわ……」
エ「俺もパスだ。」
ま「なんで?」
エ「機械鎧が錆びる。」
ほ「確かに……海水ですからね。」
エ「真水ならまだしも海は無理だ。」
ま「誰も付き合ってくれない……」
そこで声をかけたのが。
う「面白そうじゃない!」
美「海で泳ぐの楽しそう!」
亜「競技としても興味があります。」
ま「よし!行こう!」
数日後。
遠征した一行は海へ。
しかし。
う「しょっぱいー!」
美「波が邪魔ー!」
亜「プールとは全然違いますね……」
ま「思ったより難しい……」
海流。
波。
視界の悪さ。
すぐに方向感覚を失う。
その時だった。
沖の方を一人の少女が泳いでいる。
まるで魚のように。
無駄のないフォーム。
波に逆らわず。
海と一体化したような泳ぎ。
ま「……すごい。」
亜「あの人……」
美「速い。」
う「かっこいい……」
少女は数百メートル先のブイを回り、再び浜へ戻ってきた。
息一つ乱していない。
濡れた緑色の髪。
明るい笑顔。
まことは思い切って声をかけた。
ま「あの!」
少女「ん?」
ま「すごい泳ぎだった!」
少女「ありがとう。」
ま「競泳?」
少女「違うよ。」
少女は笑った。
少女「オープンウォーター。」
ま「!」
少女「私、枝野愛子。」
ま「木野まこと!」
愛「海は初めて?」
ま「わかる?」
愛「泳ぎ見ればね。」
ま「私もこんな風に泳ぎたい!」
愛「へぇ?」
ま「教えてください!」
愛「え?」
ま「弟子にしてください!!」
砂浜に頭を下げるまこと。
う「土下座した!」
美「早い早いwww」
亜「まこちゃんらしいですね。」
愛子は少し驚いたあと。
笑った。
愛「面白い子。」
そして手を差し出した。
愛「じゃあまずは海を好きになるところから。」
ま「はい!」
握手。
こうして――
まことのオープンウォータースイマーへの挑戦が始まった。
呪文
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