終わらないグランシュライブ
悪神討伐作戦が世界中で終了し、今は後夜祭ライブ中。
その最中、ライブで歌っていたミュージシャンが空の流れ星を睨むと、小さくうめいた。
彼女の正体はフェンテス都市統括AI……「グランシュライブ」の首謀者の一人だ。
悪神を祓い、世界を安定化させる。グランシュライブの目的は達成したはずだった。
だが、起きたのは善神も含めた消滅……事実上の世界の自殺だ。
事態に気付いたセントレイク魔術師組合とヒノイ神格対策部から、ほぼ同時にその連絡が届いた。
確度は高いと見ていい。
せっかく衝突した世界が、お互い歩み寄るきっかけをつかんだのだ。
神々の消滅により、この世界は消えるか、分離するか。どっちにせよ、不本意な展開になるのは確かだ。
そんなことはさせない。神を殺していいのは人間だけだ。
「……皆さん、もう一度力を貸してください!」
そう叫ぶと、彼女は再び歌いだす。そして自らの権能で、全世界に散らばるHAドライブを全力駆動させる。
HAドライヴ……本来の名前はHigh Adorationドライブ。
膨大な水分子に情報的に潜む人間の熱気・崇敬の念を、熱エネルギーに転換する。これが本当の機能だ。
今度は祓おうとした神々を救ってみせる。世界中の歌への熱気で。人間にはそれが出来るはずだ。
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ユーニャルーラさんのストーリーに乗っからせてもらいます。
https://www.chichi-pui.com/posts/9f4ab3af-0e6c-4c08-8e30-d000ace06ae1/
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