幸せの占領者
姉のカンナが部屋に踏み込むと、そこには陽光に透ける柔らかな金髪を、真っ白なシーツへ贅沢に広げた妹のアンが転がっていた。彼女は両手を頭の後ろに回し、まるで見せつけるかのように、透け感のあるレースと小さなリボンが揺れる、ほとんど下着のようなきわどい部屋着姿でくつろいでいる。
「……ふふーん。お姉ちゃん、おはよ。でもね、今のアンは、このお布団の強力な引力と戦うので手一杯なの」
アンは片目をパチリとウィンクさせ、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「忙しいって、ただゴロゴロしてるだけじゃない。早く起きて着替えなさい。今日は一緒に買い物に行くって言ったでしょ?」
「だーめ。見てよこの枕。アンの頭にジャストフィットして、離してくれないんだもん。これぞ究極の、えーっと……そう、お休みモード全開だよ!」
アンはさらに体を伸ばし、ベッドのど真ん中を占拠したまま動こうとしない。カンナが布団を剥ぎ取ろうと手を伸ばすと、アンは「わわっ、くすぐったい!」と声を上げながら、全く逃げる素振りも見せず、されるがままに身をよじってケラケラと笑い転げた。
「全く、そんな恰好で笑ってれば許されると思ってるんだから。ほら、捕まえたわよ」
「あはは! 降参、降参だよお姉ちゃん。でもあと五分、いや十分だけ、このまま運命を受け入れさせて……」
そんな妹のあまりに幸せそうな様子に、カンナは呆れつつも、最後は、ついには根負けして、自分もその隣へダイブしたくなってしまうのだった。
呪文
入力なし