お菓子をくれなきゃ二度寝します
ベッドの上で、少女は片目をこすりながら、今にも夢の世界へ戻りそうな声を出しました。頭の上には、猫のアイマスクがちょこんと乗っています。
「何言ってるの。窓の外を見てみなさい、もうお日様がサンサンと輝いてるわよ! ハロウィンの朝よ、起きなさい!」
姉がカーテンを勢いよく開けると、妹はアイマスクを少しだけ指で弾きました。
「……眩しいです。その光、私の網膜にはまだ早すぎます。カボチャさんたちはいいですよ。彼らは24時間ずっと笑った顔のまま固定されてるんですから。私には……もう、表情筋を維持する体力が残ってません」
「そんなこと言って、昨日の夜はお菓子を誰よりも食べてたのはどこの誰かしら? だから朝起きられないのよ」
「それは……『トリック・オア・トリート』に備えた備蓄です。セルフ給餌です。でも、お腹がいっぱいになると眠くなるのが、この世界の残酷な理なんです……」
「理って大げさね。ほら、アイマスクを下にずらして完全に寝ちゃう前に、朝ごはんのパンプキンパン食べちゃいなさい」
妹は「パンプキンパン」という単語にピクリと反応し、眠そうな目を少しだけ見開きました。
「……えっ。パン、あるんですか? 焼きたての、フワフワのやつですか?」
「ええ。オーブンで温めてきたわよ」
「……仕方ありませんね。パンを見捨てて寝るわけにはいきません。眠りの妖精さんには、あと10分だけお休みしててもらいます!」
そう言って、彼女はフラフラと立ち上がり、お姉ちゃんの後を追ってキッチンへと消えていくのでした。
呪文
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