暖かな抱擁
コッコロはそう言って、ぱしゃりと水面を優しく叩いた。周囲にはごつごつとした岩が並び、視線の先には真っ白な景色が広がっている。肌に伝わるのは、なんとも心地よい熱さだ。
「あ、すみません。少々独り言が過ぎましたでしょうか。ふふ、今日は旅の途中で偶然見つけた隠れ家のような場所です。どなたもいらっしゃらないようですし、少しばかり羽を伸ばさせていただきます」
彼女は小さく伸びをすると、ふわりと髪を揺らした。
「それにしても、この温度。身体の芯までしみわたるようです。あ……いけません、うっかり眠気に誘われてしまいそうです。あまり長居をしてのぼせては、後が大変ですからね」
コッコロは隣に置かれた手桶に手を伸ばし、かかった水滴を丁寧に拭った。
「そういえば、先ほど通りかかった先で、おいしそうな木の実を見つけました。あとで皆さんと一緒に食べるのが楽しみです。主様がいらっしゃれば……きっと、あの驚いたようなお顔を見られたかもしれませんね。うふふ、今は私だけの秘密の安らぎです」
少し照れたように頬を赤らめ、彼女は再び水に深く浸かった。
「はぁ……。心も身体も、すっかり温まりました。これなら、明日からの旅路も万全ですね。さて、それではそろそろ上がるとしましょうか。まだ少しばかり名残惜しいですが、あまり贅沢をしては罰が当たりますから」
コッコロは岩に手をつき、立ち上がろうとして、小さく「おっと」と声を上げた。
「あぶない、あぶない。足元が少し滑りやすくなっていますね。皆さまも、もしこの場所を訪れる機会がありましたら、どうかお気をつけくださいませ。足元にはくれぐれもご注意くださいね。大切な方が怪我をされては、私、いても立ってもいられませんから」
彼女は誰に言うでもなく微笑み、優雅な所作で水から上がった。
呪文
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