【深海の慈悲、そして選別――海の女神ネレイア】
冷たい海水が胸の奥まで入り込み、視界が暗く沈んでいくその最中――
海底のほうから、澄んだ声が響いた。
「……まだ、生きたいと思いますか?」
闇の底で、青白い光がゆっくりと膨らむ。
それは潮を押し分けながら形を帯び、こちらへと浮かび上がってくる。
やがて、沈みゆく視界の中に――
白銀の髪を揺らしながら、巨大な女神が海底から昇ってきた。
深海の女神ネレイアは、まるで潮の流れそのものが形を取ったかのように静かに佇んでいた。
微笑んでいる。
けれど、その微笑みの奥には、海そのものの“選別”が潜んでいる。
「あなたの命は、まだ灯り続ける価値があります。ですが――」
ネレイアは三叉の槍《ルミエール・ド・メール》を軽く傾け、海面に青白い光を走らせた。
その光は優しくもあり、同時に“拒絶を許さない力”を帯びている。
「生きる意志がない者を、海は抱きません。
私は救済の女神ですが、同時に大洋の怒りでもあります。
どちらを望むかは……あなたが決めなさい」
嵐の前触れのような静けさが、海を包む。
ネレイアの瞳は、慈悲と冷徹を同時に湛えながら、ただ一つの答えを待っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ネレイアと従者となる(予定の)漂流者との邂逅の場面――。
ネレイアは、深海と嵐を司る大洋の女神。
その本質は 「救う者であり、選ぶ者」 という二面性にあります。
慈悲の側面
遭難者や海難事故の生存者に現れ、命を繋ぐための奇跡を与える。
その救済は温かく、母性的で、深い海のように包み込む。
畏怖の側面
生きる意志を失った者には手を差し伸べない。
海は“試練の場”であり、彼女はその意思を代弁する存在。
微笑みの裏に潜む冷たさは、海の底の静寂そのもの。
丁寧で落ち着いた語り口だが、時折、海の冷たさを思わせる鋭さが混じる。
信徒や従者には深い慈愛を向けるが、命を軽んじる者には容赦がない。
今回のポートレイトは、
「救済か、沈黙か」
その境界に立つネレイアの姿を切り取った一枚です。
※ネレイアの設定はこちら→https://www.chichi-pui.com/posts/13602943-4de0-490b-9784-b11bff20b144/
エレウセリオン神話記WEBサイト(※アーカイブ用の自サイトです)
https://eleutherion2026.wixsite.com/my-site
呪文
入力なし