小悪魔メイドの給仕代償
大きな窓から差し込む夕日に照らされて、紫色のツインテールを揺らしながら、彼女——魔界でも指折りの名家出身(自称)の悪魔、グレモリーが不満げに頬を膨らませた。フリルだらけの白い布地は、彼女の華奢な体に申し訳程度に乗っているだけで、背中の小さな羽が所在なさげにパタパタと動いている。
「約束だろう。君が僕の部屋のクッキーを勝手に食べたから、その分は労働で返してもらうって」
「たかがクッキー一枚で、なんでこんな格好で掃除しなきゃいけないわけ!? この服、スースーして落ち着かないんだけど!」
グレモリーは手袋をはめた指先を口元に当て、上目遣いでこちらを睨んでくる。
「それは君が『どんな対価でも払うから、魔界に強制送還するのだけはやめて!』って泣きついたからだよ」
「うっ、それは……。でも、これじゃまるで私が変な趣味の人みたいじゃない」
彼女は自分の太ももまである白い靴下を直しながら、わざとらしく溜息をついた。
「いい? 悪魔との誓いは絶対なの。だから今夜は、あなたが満足するまで……徹底的に……」
一瞬、彼女の声が艶っぽく響き、ドキリとする。だが、彼女が差し出したのは、埃まみれのハタキだった。
「……徹底的に、この部屋の隅っこまでピカピカにしてあげるわ! 覚悟なさい!」
どうやら、彼女なりの「誠心誠意」は、掃除への情熱に変換されたらしい。悪魔のプライドをかけた大掃除は、まだ始まったばかりだった。
呪文
入力なし