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呪いの言葉

使用したAI Dalle
「……さすがに、もう履けないか」
この靴を見て、思わず口走ってしまった事をすぐに後悔した。

『おかーさん、この靴!』
『あらあら、見つかっちゃったのね……でも、まだ駄目よ』

「……大人になったら、似合うようになるから」
もはやその姿さえも朧な母の言葉がこだまのように頭に響く。
大人になれなくなった身体で、その言葉は細い棘のように突き刺さる。
「……」
無造作に革用の大きな縫い針を掴むとその鋭利な先端を喉へと向ける。
"帽子"の呪いはただの不老長寿だ。不死ではない。このまま手を引き込めば、きっと終われるだろう。

『……生きて、ティア』

「……っ!」
より鮮明な母の言葉が脳裏に響き、彼女は針を放り捨てた。姿さえも朧な母の、生暖かい血濡れた手の感覚。
「何が……何が呪いの帽子ッ!」
そのまま彼女は帽子すらも床にたたきつけた。赤い裏地の魔女帽子は不満そうに僅かにうねる。
「アタシの……私の本当の呪いは、お母さんだよ……ッ!!何が生きてなの……なんで死んじゃったの………なんで……忘れられないの……」
髪先がざわざわと赤みを増す。呪いの色が、髪から彼女の頭へと筋張った手を伸ばしていく。
「………」
彼女は帽子を拾い、被りなおした。手を伸ばしかけた呪いがすっとその色を引っ込める。
「………酒」
彼女はそのまま踵を返し、戸棚に所狭しと置かれた酒瓶の一つを煽るように呑むと、そのまま夜の森へと消えていった。

呪文

入力なし

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