ご主人様と三人の(お嫁な)メイド 並行世界での生活編「新婚早々別居生活な件」 中編
目を覚ますといつもとは少し違う天井。時間は……いつもより少し早いか。
ふと、隣を見るとイノリがこちらを見ていた。
「おはようございます……あなた」
「おはよう、イノリ」
朝目覚めると隣に愛しい妻が居るというのはやはり良いものだ……。無駄に
厄介な案件がなければ、この一月の間ずっと一人で寝る事もなかったのだが。
まぁ、忙しすぎてろくに眠れない日もあったけど、あぁ、久々のイノリの
温もりを改めて味わっていると下半身のソレが反応してしまう。
「あっ……」
「ご、ごめん」
「ふふっ、良いんですよ……その、ふ、夫婦なんですし」
「そうだな。じゃあ、良いかな」
「は、はい」
そのまま、イノリとまたセックスをして、すっきりしたのは言うまでもない。
「おはよう、トワ、クオン」
「おはようございます、ご主人様」
「おはよう、旦那様」
夫婦になった後、クオンは変わらずご主人様と呼び、トワは旦那様と呼ぶ
ようになった。イノリはあなたとそれぞれの呼び方が違うのも良いなとは思っ
ている。
「あまり聞きたくはないけれど……こっちにきて大丈夫なの?」
「この一月でほぼ片着いたよ。それに新婚なのにいつまでも別居生活は本当
勘弁してほしいし」
と、苦笑いをしつつ答える。実際のところ、こちらで世話になるのもありと
言えばありなんだが、やはり自分の基本は向こうでの生活であるため、こちら
は半分別荘と考えてはいる。
「ふふっ、お疲れ様です」
クオンが用意してくれていたお茶を飲むためテーブルへ向かうとそこには、
既に朝食が並んでいた。
そのまま三人で食事しつつ、近況を確認。この屋敷はお義母さん曰く。
「ひゅーとやってひょい。ひゅーひょい。こんな感じでそちらの世界の屋敷
を参考にちょいちょいとね。他のメイドさん達は居ないし、三人では流石に
広すぎるから少し縮めて作らせてもらったのよ」
と、用意してくれたらしいが……ひゅーひょいってなんだ。しかし、うちの
屋敷を参考にか。どうりでそっくりだと思った。
三人の話を聞く限りは外も自分達の世界とそう変わらないらしい。まぁ、
天使や悪魔がそのままの姿で歩いていたりする以外は……。
「そういえば、純粋な人間が少ないとは言ってたな」
「えぇ、天使や悪魔の方が多いそうです」
純粋な人間と思っていたら、覚醒してないだけという例もあるらしい。
お義母さんがそれだったか。
「そういえば、ばあやは」
「ご主人様が来ると聞いて、お邪魔なっちゃいけないからとお義母さんの
いる屋敷の方に移動しました」
「やれやれ、気を使いすぎなんだよな……」
同敷地内にあるらしいし、別に問題はないのだが。
「最初の一週間は好きなだけいちゃいちゃしなさいとの伝言をされました」
「いちゃいちゃって……良いけどさ」
何か動きがあれば即帰還できるように手筈は整えているし、連絡手段も確保
はしているので問題はないか。
「本当、こちらも何と言うか……変わらないんだな」
昨夜はイノリといちゃいちゃしたので、今日はトワの番という事もあり
一緒に出掛ける事にした。
と言っても近くにある公園にではあるが。遠出は流石にちょっとこちら
の勝手が分からないのもあるし、トラブルが起きないとも限らないので、
近場でデートにした。
「ねぇ、旦那様」
「んっ、どうしたんだ?」
「寂しかった?」
「……。凄く」
「ふふっ、そうなんだ」
そう言って腕を絡ませる。
「そりゃ、そうだろ。何もなければと言うのもアレだけど……な」
「うん……そうね」
「もう少しかかるが、普通に暮らせるようにはするさ」
「うん、待ってる」
その後はたわいもない会話をしながら歩いていたのだが、ちょっと
奥まったところに行った時に、そのなんだ……。
「だ、だめ、こんなところじゃ」
「こんなところだから良いんだろう?」
などなど、どう考えても……そういうスポット的な場所なようだった。
「この声って」
「離れようか」
「え、ええ」
その日の夜は……。まぁ、そういう声の影響もあったわけではないが、一月
振りのトワの身体をたっぷりと味わったのは言うまでもない。
続く
設定みたいなもの
イノリ母(天使に名前はあまり意味はないが、人間だった時の名前はマリア)
ライ達の住む世界の並行世界となる世界の住人でイノリの母であり、ライの
義母になる。並行世界では天使や悪魔も普通に存在していて、純粋な人間の方
が少ない。
元は人間だったが、イノリを出産してまもなく、この物語の元凶となる魔女
が接触したことで、あらゆる次元を見守る天使に覚醒した。
夫は看病のかいなく、しばらくして亡くなってしまった。
魔女からイノリを一時的に避難させるべく、力を行使するが目覚めて間もな
かった事と魔女の妨害もあり行方を追えなくなってしまった。
魔女を退けた後も捜索はしていたのだが、下手に見つけてしまうと、魔女が
再び現れイノリの身の危険性もあり、無事を願うしかなかった。
それからしばらくの時が経った頃、トワの実の母であるサクラの魂が、
イノリの中にある天使の力を行使した事で居場所は特定する。
しかし、今まで離れていた事と、母親を名乗り出て良いのかというジレンマ
もあり、力を行使し自らの分身体の天使を生み出したものの、接触までには
それなりの時間がかかった。
一連の事件後、イノリは今までの生活を選んだので離れ離れとなっているが、
いつでも会えるようにはなった。
今回の一件で今まで助けてやれなかった事に対する償いの意味もあるが、
純粋な人助けとして自身の世界への避難を提案し了承される。
屋敷は作中で語る通り、彼女が天使の力で即興で作り上げたものである。
元はイノリと同じく赤い目だったのだが、天使に覚醒したことで変化した。
実のところ、離れていても力を通じて邂逅編でのイノリの身に起きた事を、
全て把握をしている。
魔女のせいとはいえ、彼女の育ての親である養父に対しては少々複雑な気分
ではあるが許している。
呪文
入力なし