Capture 19「選ばせないやり方」
購買の帰り、夏帆に呼び止められた。
「ね、どっちがいいと思う?」
手にはパンが二つ。
「いや、どっちでも——」
「ちゃんと選んで」
食い気味に遮られる。
笑ってるのに、逃げ道がない。
「……じゃあ、そっち」
適当に指差すと、
「ほんとに?」
一歩、距離が詰まる。
近くない。
でも、逃げにくい。
「選んだ理由は?」
「いや、なんとなく——」
「なんとなくはダメ」
即否定。
「ちゃんと見て選んでよ」
軽い口調のまま。
でも、視線は外さない。
——これ、テストだ。
答えじゃなくて、過程を見られてる。
「……甘そうだから」
絞り出すと、
「うん、正解」
満足そうに笑った。
選ばされたのに。
選んだ気にさせられてる。
呪文
入力なし