開いた扉の先は異世界でした
兄の拓也がノックもせずに部屋の扉を開けた瞬間、そこには銀色の髪をなびかせた「異世界の住人」が立っていた。
「……おはよう、お兄ちゃん。なんか、部屋の温度設定間違えたみたい」
妹のユキは、白いキャミソールにピンクの下着、そしてなぜかグレーのパーカーを中途半端に羽織った姿で、無表情に立ち尽くしている。
「間違えたのは温度じゃなくてお前の倫理観だろ! なんでそんな格好で堂々と廊下に出ようとしてるんだ!」
「だって、暑いんだもん。このパーカー、最新の遮熱素材って書いてあったから着てみたんだけど、全然涼しくない。不良品かな?」
「いや、その下に色々着込みすぎなんだよ! せめてズボンを履け!」
拓也が慌てて自分の視線を天井に逃がすと、ユキは不思議そうに首をかしげ、ドアノブを握り直した。
「お兄ちゃん、天井に何かいるの? 妖精さん?」
「いるわけないだろ! いいから部屋に戻れ。ほら、母さんに見つかったら説教三時間コースだぞ」
「ええー、面倒くさい。お兄ちゃんの部屋、エアコン効いてるんでしょ? 避難させて」
「許可できるか! 自分の部屋で大人しく着替えてこい!」
ユキは不満そうに頬を膨らませたが、最後には「ちぇ、ケチ」と小さく呟いて、パタパタと素足の音を立てながら部屋の奥へと消えていった。
拓也は大きくため息をつき、火照った顔を手のひらで仰いだ。
呪文
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