小悪魔生徒会長 #憧れの先輩
春の陽だまりの中で待ち構えていたのは、我が校の誇る完璧超人・レミ先輩。
成績優秀、容姿端麗、カリスマ性抜群。スレンダーで華奢な体型に、少し幼さを残した顔立ち……だけど、その中身は全校生徒を顎で使いこなす、恐るべきカリスマだ。
「……先輩! まだ約束の30分前ですよ!?」
『あ、ハルト君! やっと来た。楽しみすぎて、つい早く着いちゃった。えへへ!』
そう言って屈託なく笑うレミ先輩は、今日はいつもの制服じゃなく、清楚なフリル付きのガーリーなブラウス姿。……反則。黙っていればどこかのお嬢様にしか見えない。
先輩はオレの顔を覗き込んで、ニヤリと口角を上げた。
『なになに? もしかして、惚れ直しちゃった? 顔真っ赤だよぉ?』
「……っ! ち、違います! 今日は生徒会の備品買い出しに付き合えって話でしたよね?」
必死に話題を逸らしても、先輩は『ありがと、付き合ってくれて。嬉しいな』なんて言いながら、細い腕を絡めてくる…。柔道の乱取りより、よっぽど心拍数が上がる。
この人は、いつもそうだ。
オレの気持ちに気づいているのか、それともただ「いじり甲斐のある後輩」だと思っているのか。
去年の文化祭の時だってそうだ……。
『見て見て! 今年の出し物のサンプルのメイド服! どうかな?』
そう言って、先輩は椅子の上でくるりと回ってポーズを決めた。薄い生地のスカートがふわっと跳ねて、白いショーツが丸見えになる。
周りの男子は鼻の下を伸ばし、女子は呆れ顔。
「……せ、先輩! スカート…」
すると先輩は、わざとらしく頬を膨らませて、
『……ハルト君、えっち。……もしかして、また私の「奥」に触れたくなっちゃったの?』
一瞬で凍り付く生徒会室の空気。
「ち、違います!! あれは先輩が、クモが入ったから取ってくれって泣きつくから……っ!」
『ふふっ、でも事実じゃん? ……はい、レスバ終了! 責任とって可愛く撮ってね!』
そう言ってカメラを押し付けられた時の、あの絶望的な敗北感……。
「……ハルト君? ぼーっとしてどうしたの? あ、思い出した! 駅前のカフェ行こ! 限定パフェ食べたい!」
「……先輩。まさか、今日の『生徒会の仕事』って、それが目的じゃ……」
『当たり! カップル限定・数量限定のイチゴパフェ!』
先輩はスマホしか入っていないような小さなサコッシュを僕の胸に押し付けると、軽やかな足取りで駆け出した。
『ほら、売り切れちゃうよ! 早く来て、彼氏君!』
……彼氏役。また、それだ。
認めます。オレは、先輩に憧れてます。
先輩はオレにとって特別で、誰よりも眩しい存在です。
……でも。
先輩は、オレのことをどう思ってるんですか?
この胸のざわつきは、単なる「憧れ」なのか、それとも、もっと深い「好意」なのか。
先輩、今日こそ……その答えを、教えてくださいよ。
(――結局、パフェに夢中な先輩の横顔に、何も聞けないまま1日が過ぎるんだろうな…)
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