火野家の食卓
ある休日。
珍しく、乱馬が夕食当番になった。
乱馬「今日は俺がカレー作る!」
乱麗「やったー!」
未「パパのカレー好き!」
麗「いっぱい食べる!」
冷蔵庫を開けた乱馬。
乱馬「……ルー切れてるな。」
近所のスーパーへ向かう。
カレー売り場にはたくさんの種類が並んでいた。
乱馬「どれでも同じだろ。」
一番目についた箱を手に取る。
乱馬「これでいいか。」
買ったのはバーモントカレー。
帰宅して、玉ねぎを炒め、肉と野菜を煮込み、ルーを入れて完成。
夕食。
乱麗「いただきまーす!」
未「おいしい!」
麗「パパ最高!」
レイも一口。
レ「……おいしい。」
乱馬は得意げ。
乱馬「だろ?」
しばらく和やかに食べ進めたあと――
レ「ところで、乱馬。」
乱馬「ん?」
レ「ルー、何使ったの?」
乱馬「バーモントカレーだけど?」
レイの動きが止まる。
レ「……え?」
家族も一斉にレイを見る。
レ「うちは、こくまろよ!」
乱馬「えっ!?」
レ「バーモントカレー、高いでしょっ!」
乱馬はきょとん。
乱馬「カレーなら何でも一緒かと思ってた……。」
レ「違うの!いつも買うの決まってるの!」
乱麗と未麗は顔を見合わせて笑いをこらえる。
乱麗「パパらしい……。」
未「でも、おいしいよ?」
麗「僕、これ好き!」
レイもため息をつきながら、もう一口食べる。
レ「……まあ、おいしいのは認める。」
乱馬は胸をなで下ろす。
乱馬「じゃあ、セーフ?」
レイは苦笑しながら、
レ「今回はね。でも次からは買い物に行く前に聞いて。」
乱馬「了解。」
そのやり取りを見ていた子どもたちは、
乱麗「また一つ、我が家の伝説が増えたね。」
未「今度はパパに買い物メモ持たせよう。」
麗「『ルーはこくまろ!』って大きく書いておこう!」
その一言に、家族全員が笑い出した。
それ以来、買い物へ行く乱馬の財布には、レイ直筆のメモが一枚。
「カレーのルーは『こくまろ』!」
乱馬はそのメモを見るたびに、
「……もう間違えねぇよ。」
と苦笑しながらスーパーのカレー売り場へ向かうのだった。
呪文
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