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グラスフェリア起動

使用したAI niji・journey
私は、ただひたすらに駆けた。
呼吸が苦しい。脚部の疲労が凄まじい。今すぐにでも座り込んでしまいたい。
しかし、歩みを止めることは許されない。許さない。私が私を許さない。

今も、姉さんはあの赤い巨人と戦っているんだ。
姉さんは、逃げろと命じたのではない。ある場所に向かってほしいと言ったのだ。
そこに、状況を覆す何かがあるに違いない。

少しでも急ぐべく、マナに意識を向ける。
紡ぐのは簡単な術式。大地に干渉し、練り上げたイメージを解き放つ。
私が地面を踏みしめると同時に、大地を隆起させ、私の身体を押し飛ばす。
そして、次の着地にあわせて、再度大地を隆起させ、それを足場に私は跳ぶ。

タイミングを間違えば大怪我では済まない芸当だが、私は寸分の狂いもなく、最適なタイミングで術を発動し続ける。
姉さんが命を張って時間を稼いでいるのだ。
こんな程度で、もたもたしてなどいられない!

そうしてしばらく跳躍を続けると、自然あふれる山奥でありながら、異常なほどに負のマナが濃い場所にたどり着いた。
姉さんの地図で描かれた場所とも近しい。
「ここが、姉さんの言っていた場所……?」
負のマナは、どうやら目の前の岩壁から濃くなっているように感じる。
近づいてみてみると、何やら壁にくぼみのような跡が見つかる。

姉さんの波長に意識を合わせようとしたその時、姉さんからもらったネックレスから光がほとばしる。
光は赤い宝石から発せられているようだ。
そして、光は一本の線に収束し、天に向かって伸びていった。
「一体、何が……?」

そうつぶやいた瞬間、私と姉さんをつないでいた、なにかが、プツリと切れるのを感じた。
それは、契約によりつながっていた、私と姉さんの縁が切れる感覚だった。
「う、うそ……。嘘よ嘘よ嘘よ!姉さんが、私を見捨てるはずがない……。一体、何が!?」
私は、姉さんを最後に感じた方向に向けて足を進めようとしたが、足が動かなかった。
何か。とてつもない強大な何かが、その先にいるのが感じられた。
遥か遠く、目視も叶わないその先で、しかし、この世界に存在してはいけない何かが。
気づいたら、私は後ずさりをしていた。
その先で、姉さんの身に何かが起きたのは確実だというのに、あろうことか、この身はそこに向かうのを本能的に拒絶していた。
(…デル。……える?)
頭の中に、聞き覚えのある声が、しかし、とても弱々しく聞こえた。
(姉さん!?姉さんなの?)
声が聞こえてきた波長に意識をあわせようとすると、どうやらその声は姉さんからもらったネックレスの宝石から発せられているようだった。
(エデル!よかった。ようやくチャンネルが通じた。)
(姉さん!無事なの!?一体、あそこで何があったの!?)
(無事……じゃあないわね。今の私は、この石に宿らせた残留思念みたいなものだから。でも、エデルがもう到着していたみたいでよかった。
 話すと長くなるから、ひとまず、この石をそこの岩壁のくぼみにはめてくれるかしら?)
私は、姉さんの言う通り、先ほど見つけたくぼみに石をはめる。
すると、石を中心に魔力の光が四方に走り、岩壁の一部が音を立てながら扉のように開いた。
(とりあえず、中に入ってちょうだい。話は進みながらしましょ。)
私はうなづいて、石を回収すると岩壁の中に入る。
扉は私が中に入ると、引きずるような音を立てながらしまった。
一瞬、暗闇が中を支配するが、直後に室内に明かりが灯った。
(とりあえず、まっすぐ進んでちょうだい。その先に大きな鉄製のかごみたいなのがあるから、そこに入ってね)
そこは、全体的な内装こそ違うものの、過去の記憶と類似点のある研究施設だった。
私の恐怖の原点。ポレノフィアの研究施設と。
(姉さん、ここって……?)
私は、その先を具体的に聞くのが怖かった。
(……エデルには、知る権利があるわね。ここは私の研究施設よ。そして、エデルが感じている既視感も、正解よ。
 エルフィリアであなたのご両親が開発していたポレノフィアの研究施設は、私が援助していたのだもの。)
聞きたくなかった答えが、姉さんから発せられる。
(それじゃ、ポレノフィアの開発は……?)
(エデルが聞きたい答えに関しては、イエスともノーともいえるわね。私が依頼したのは、ポレノフィアのコアである、マナコンバーターの開発。
 それを使って、作ったものに関してはエルフィリアの管轄ね。ただ、私が依頼した研究の結果、あなたのご両親は亡くなったともいえるわ。)
姉さんの答えを聞いて、私は、自分がどうしたいのかわからなくなってしまった。
両親を殺したポレノフィアも、そしてそんな化物を開発させていた連中も、許せなかったのは事実だ。
だが、私はナターシャのことを、姉さんのことを憎むことなんてできるはずがなかった。
(ここまで来たのだし、そろそろ話しておくべきね。以前聞いてくれた、私の目的を。私の目的は、自身の身体に巣食っていた、この世界の外側にいる邪神を呼び出し、この手で殺すことよ。そのために、私は自分の命を代価に、邪神を呼び出した。)
姉さんとの契約が切れたのは、もう姉さんが死んでいるからってこと……!?
(死んじゃってるのに、どうやってその邪神を殺すっていうの!?)
(私の意識は、もうあのカミサマに大分侵食されちゃっててね。その呪縛から逃れるには、一度死ぬしかなかったのよ。
 それに、私は『屍術師』でしょ。死を乗り越える方法は用意してあるわ。)
頭の中で会話を続けながら歩き続けていると、姉さんが言っていた鉄製のかごのようなものが見つかった。
(それじゃ、そのかごに乗って、そこのボタンを押してちょうだい。)
私は言われた通り、ボタンを押すと、振動と共に、かごが地下に向かって降りてゆく。
(さて、この後の話だけど、私が用意した死を乗り越える方法は、エデルの協力が不可欠だわ。私は、今となってはこの石の中から会話するぐらいしかできないからね。だから、エデルには二つの選択肢があるわ。私の復活に協力してくれるか、それとも両親が死んだ原因でもある、私を始末するか。)
(……なんで?なんでいまさらになって、そんなことを教えるの!?)
(一つは、邪神が私の身体にいる状態で伝えるにはリスクがあったから。そして、もう一つの理由は、あなたのご両親には恩があったから。最後の理由は、家族にこれ以上隠し事をしたくなかったからよ)
(姉さんは……ずるいよ。そんな言い方されちゃったら、姉さんを恨むなんてできるはずないじゃない!)
気が付くと、私の両目からは涙が伝っていた。感情がぐちゃぐちゃで、何に対して泣いているのか、もう私にはわからなかった。
(私の答えは、前から変わらないよ……。姉さんと一緒にいることが、今の私の生きがいだから。)
(まったく……アンタって子は……。でも、わかってるのかい?私と一緒ってことは、この後邪神と戦う羽目になるんだよ?)
先ほどの、本能的な恐怖を思い出す。だが…、
(姉さんと一緒なら、大丈夫。なんだってできる気がするから。)
(……そうかい。ありがとうよ、エデル。)
しばらく沈黙が場を支配した。ただ、かごの振動の音のみが鳴り響く。
私と姉さんだけの、2人きりの空間。
ああ。これに安らぎを感じるのだから、やはり、私に姉さんを見捨てるなんて選択はあろうはずもない。

しばらくして、最下層についたのか、かごはガタンと音を立てて止まる。
(じゃそこの左手の部屋に入っておくれ。)
姉さんの言うとおり、部屋に入ると、そこには、水槽の中に浮かぶ、姉さんと瓜二つの顔があった。
しかし、その四肢は人の身体とは言えず、触手のようなもので構成されていた。
(ああ、エデルには見せるのは初めてだったね。これが私の本来の肉体さね。にょろにょろしててかわいいだろ?)
その言葉を聞き、私は姉さんと初めて会った時のことを思い出した。もしかして、姉さんってこういうのが趣味なんだろうか……。
(エデルにお願いしたいことは3つだ。まずは、今の私、この石をそこの台座においてくれ。次に、石をおいた台座に、エデルの血を垂らしてくれ。最後に、負のマナをこの肉体に注ぎ込んでくれたら、完了だよ)
私は、言われた通りに石を台座において、指先をダガーで切り裂いて、血を台座に注ぎながら問う。
(なんで私の血が必要なの?)
(それは、エデルが私と契約を交わした家族だからさ。これは、私の死によって一度絶たれた縁を再度繋ぎとめる儀式みたいなものさね。)
台座が血で満たされると、台座が勝手に移動し、石と血は水槽の中に放り込まれた。
この研究施設は負のマナがとても濃いため、肉体に込めるマナには事欠くことはなさそうだ。
私は、姉さんの身体に負のマナを集めていく。
そうすると、水槽の中の姉さんの身体から、触手が伸び、石を肉体の中に取り込んだ。
それと同時に、姉さんの身体が目を開ける。
そして、自身の身体を動かして、新しい肉体の感触を確かめているようだ。
(ありがとう、エデル。これでひとまずは大丈夫そうだ。私はもう少し、この身体を慣らすから、エデルは部屋を出てまっすぐ先の部屋に向かっていておくれ。私もすぐに向かうよ。)
(わかったわ、姉さん。)
水槽の中にいるため、まだしゃべれないのだろう。しかし、意識はちゃんと肉体から発せられている。
私は、ひとまず姉さんが無事だったことに安堵し、言われた部屋に向かうことにした。

しばらく歩くと、そこはどうやら何かの工房のようだった。
そして、作られていたのは、あの赤い巨人と同様の、鉄の肉体を持つ黒い巨人だった。
これが、姉さんの切り札、なのだろうか……?
先ほどの部屋の方から、ぱりんという水槽の割れるような音が響く。
姉さん!?
私は部屋に戻ろうとすると、血にまみれた姉さんの姿が現れた。

「姉さん、大丈夫!?血まみれだけど……」
「うん。もう快調快調。ただ、寝起きでこの身体はお腹が空いていたみたいだから、軽く食事をしてきただけだよ」
そう言って、口元についた血を舐めとる姉さんは、どこか淫靡的だった。
そして、同時に、姉さんの状態がなんとなくわかった。
これは、魂が定着した亡者のような存在なのだろう。
「だっこ」
「え?」
「ここまで頑張った私のために、姉さんは私をだっこすべき」
「もう、仕方ない子だなぁ、この子は」
そう言って、姉さんは私を抱きしめ、触手で頭を撫でてくれた。
ああ、やはり。
その身体に熱はなく。ひんやりとした身体が私を包む。
だが、それは私に安らぎを与えてくれる。
例え、亡者であろうとも。姉さんは姉さんなのだ。

「落ち着いたかい?」
「うん。ありがとう。姉さんはやっぱり姉さんだ。」
「そうさね。肉体は所詮器に過ぎない。肝心なのは、精神が自由であること。」
「じゃ、やるんだね、姉さん」
「ああ、あのクソッたれなカミサマに、ちっぽけな人間の恐ろしさをみせてやろうじゃないか。」
そういうと、姉さんと私の身体を転移方陣の光が包む。
光が消えた後には、巨人の操縦席と思われる場所に転移していた。
操縦席は2つあり、姉さんは後ろの席に座りながら、前の席を指さす。
「あのー、姉さん。わかってると思うけど、私こんなのの操縦方法なんてわからないよ?」
「ああ、大丈夫だよ。その座席に座れば、操縦方法がわかるように仕込んであるから」
私は内心不安を抱きながら、前の座席に座る。
そして、両手を置く場所のようなものに手を置いた瞬間、頭の中に膨大な情報が流れ込んできた。
この機体の操縦方法から、搭載武器、そして、この子の名前。

「大丈夫かい?エデル。」
「うん。わかった。それじゃ、行くよ。姉さん。
「ああ。」
「「グラスフェリア、発進!!」」
姉さんが巨大な転移方陣を起動し、中央湖に転移すると同時に、グラスフェリアの炉に火を入れる。
目指すは、邪悪な気配がひしひしと感じる中央湖上空。

to be continued…

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