バラ園の妖精
陽だまりの中で、金色の髪を揺らして彼女が首をかしげる。その仕草一つで、周りのバラたちが霞んで見えるほどだ。私は慌てて視線を逸らし、手に持った剪定バサミをカチカチと鳴らした。
「いや、あまりに絵になりすぎていてな。バラの妖精かと思っただけだ」
「ふふ、妖精なら羽があるはずでしょ?」
彼女はいたずらっぽく笑うと、ひらひらと舞う蝶を指さした。
「あの子たちと一緒にするなんて、ちょっと失礼じゃない?」
「それは悪かった。しかし、これだけ囲まれていると、どちらが主役か分からなくなるな」
「もちろん、私に決まってるでしょ?」
自信満々に胸を張る姿を見て、思わず吹き出してしまう。彼女は不満そうに頬を膨らませたが、すぐに柔らかい表情に戻った。
「……ねえ、もう一つちょうだい」
「何をだ?」
「その、お菓子。さっきのより美味しいやつ」
結局、この愛らしい主役のご機嫌を取るために、私は再びポケットを探る羽目になる。バラの棘よりも、彼女のわがままな笑顔の方が、よほど扱いにくい。
呪文
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