青いバラの庭で
「……うう、もう……」
アリアは、足元を這うように広がる石畳の小道を見つめながら、小さなため息をついた。美しいはずの庭が、今の彼女にはまるで、出口のない迷路のように感じられた。
「リボンさん、リボンさん。私の可愛いリボンさん」
彼女は髪に結ばれた青いリボンをそっと撫で、独り言を呟いた。
「もうそろそろ、限界だと思うの。限界っていうのは、つまり、あの……その、アレのこと。アレが、もう、我慢できなくて……」
アリアは、顔を真っ赤にして、抱えたバラの花束に顔を埋めた。バラの香りが鼻をくすぐる。でも、今の彼女には、その香りさえも、アレを連想させてしまう。
「ああっ、ダメ! バラの香りじゃない! バラの……バラの、ああっ、もう! どうして私は、こんなところに一人でいるの!?」
彼女は、青いバラの生け垣を睨みつけた。
「バラさん、バラさん。あなたたちは、いいわね。ずっとここに立っていられて。どこにも行かなくて済むものね」
アリアは、バラの生け垣にそっと手を触れた。
「でも、私は違うの。私は、行かなくちゃいけないところがあるの。行かなくちゃいけないのに、行けない……。どうして、どうしてこんなに、……広いのかしら、この庭は」
彼女は、庭の奥へと続く小道を見つめ、またため息をついた。
「……もう、限界。本当に、限界」
アリアは、バラの花束をきゅっと抱きしめ、覚悟を決めた。
「……行くわ。もう、我慢しない。我慢したら、大変なことになっちゃうもの」
彼女は、小道を足早に歩き始めた。美しい青いバラの庭園。でも、今の彼女の心には、ただ一つ、アレのことだけが、渦巻いていた。
呪文
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