無名の絵描き
こんなに綺麗な向日葵なのに、そんなこと言わないで
と少女は泣いた
その向日葵はやがて、誰もが欲しがる『タカネの花』
になっていった
名は世に知れ渡り、財も、栄誉も、祝福も
彼の夢見たあらゆるものが、世界から贈られた
でも彼にとっては、その全てが遅すぎた
向日葵を讃える人の、一体何人にその美が視えるだろう
タカネでなくとも、美しい花を美しいと見抜ける『眼』
それを持つ人はきっと
美を生み出す人の数と同じくらい少ないのだろう
少女と同じ眼を持った人達が
もしも彼のそばにもっと大勢いてくれたなら
銃弾よりも速く、彼の夢は彼に追いつけたはずだった
呪文
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