看板娘の受難
陽光が差し込むのどかな喫茶店『シュシュ』の厨房に、看板娘であるアンズの絶叫が響き渡りました。彼女のトレードマークである白い猫耳はピンと逆立ち、長い尻尾はブラシのように膨らんでいます。
「ちょっとアンズ、どうしたの? お客さまがびっくりしちゃうじゃない」
店主のカナが呆れ顔で覗き込むと、そこにはカウンターの上でスカートを振り乱し、必死にフライパンを構えるアンズの姿がありました。
「店長、あそこ! 棚の影に、灰色で、しっぽが細長くて、カサカサ動く……悪魔がいるの!」
アンズが指差した先では、小さなネズミがひょっこりと顔を出していました。アンズは自慢の動体視力でその動きを完璧に捉えてしまい、逆に恐怖でパニックに陥っています。
「あんたねぇ、一応は猫を自称してるんでしょ。ほら、捕まえてきなさい」
「無理無理無理! あんな得体の知れない生き物、噛まれたらどうするの!? 私は誇り高い家猫なのよ、狩猟なんて野蛮なことできないわ!」
「何を格好つけてんのよ……」
ネズミがアンズの足元へ向かってトトトッと走り出すと、彼女はさらに高く跳び上がりました。
「こっちに来ないでぇぇ! ミルクあげるから、あっち行ってぇぇ!」
アンズは震える手でマグカップを差し出しましたが、勢い余ってミルクが派手に飛び散ります。結局、小さな侵入者が去るまで、店の中心でフライパンを振り回す「勇敢な」猫娘のダンスは終わらないのでした。
呪文
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