Days of her liberty.
当代一の天才といわれるドクターヘラルド。
彼が世界中の技術の粋を集め設立した研究所は、まさにその象徴であった。
ここでは人が神の領域に足を踏み入れるべく、不老不死の研究が行われていた。
人体の機械化による記憶と生命の永続化......。彼らは自らを「新人類」と称し、肉体の脆弱性を克服することで、次の進化への扉を開こうとした。
ある実験で、博士たちは戦闘用ヒューマノイドのほぼ完璧な素体を完成させた。
被検体MW-225、ミーシャ。
北方の田舎町に生まれた彼女は、多額の報酬と引き換えにこの研究所にやってきた。家族の借金を返済するため、表向きは新薬開発のための治験という名目で。
彼女の体は今や7割以上が機械部品によって構成されていた。
記憶は実験に支障をきたさないよう記憶を脳の奥深くに封印され、自我を失ったまま、研究所の中で無数の改造と投薬を繰り返す日々を送っていた。
彼女の周りでは、博士たちが熱心に彼女の性能を調整し、機能を最適化しようとしていた。
彼らにとってミーシャは、成功の証であり、新たな時代の幕開けを告げる存在なのだ。
だが、彼らは見落としていた。
ミーシャの瞳の奥に潜む、深い悲しみと反逆の光を。
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混濁した意識の中、ゆっくりと思い出される記憶。
研究員たちの会話が聞こえる。
「秘密を知る可能性のある者、とくに被験者の家族たちは全て消せ」
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「対象リストの全員、処理を完了しました」
理解から徐々に湧き出た悲しみは、やがて確かな怒りへと変わっていった。
許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない。
私の全てを奪ったこの研究所を。この間違った世界を、全部全部ぶっ壊してやる。
......でも今はまだその時じゃない。記憶や人間性が戻ったことを悟られないように、しばらくは従順な機械人形を続けるんだ。
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部屋でじっとしてたところを連れ出される。
ここのところ連日だ。どうせ最近熱心にとりくんでいる戦闘用装備の換装実験と身体検査だろう。
しかしいつもと違ったのは、検査室に鏡があったことだ。
腕に気取られぬよう、自身の姿を見る。
たった今取り付けられた、人を切り裂き、なぎ倒すための巨大な機械の腕。
一見人間と変わらないが、温かみの感じられない青白い肌。その下でうごめく、細かな人工の筋肉繊維。
楽しかったあの頃の私は、もうどこにもいない。
でも、なんだろう、なんでなんだろう。
わたし、すごく、すごく......かわいいじゃない。
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研究所に特大音量の警報が鳴り響く。
「EMGコード73!EMGコード73!被検体MW-225、個体名ミーシャが身体検査中に職員2名を殺害し逃走!当個体は検査時に持ち出されていた戦闘用アームを装備しているとのこと!全職員は緊急時マニュアルに沿って速やかに退避!本日常駐している戦闘員は同個体の確保に急......うわぁぁあああああ!」
研究所のあちこちで響く爆発音と衝撃。そして少女の楽しそうな笑い声。
神に一番近い場所と言われていた研究所は、世界一の地獄に変わろうとしていた。
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静寂の中、チリチリと火が燃える音だけが聞こえる。
ひときわ高く積まれた瓦礫の上で、ミーシャは空に浮かぶ月を見上げていた。
「あぁぁ......とても、とてもいい気持ち......。もう私は自由、自由なんだ」
神に近づこうとした人類の落とし子。
この日、彼女は世界にただ一人、本当の「新人類」として目覚めた。
もはや彼女を縛るものは何もない。
終焉が、自由を手にした日。
世界が、破滅に向かった日。
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武器コンテスト参加!イラストはあんまり時間かけられなかったので、テキスト頑張ったー!
※Nijijourney => 加筆修正 => SD i2i & アップスケール => photoshopでの加筆修正 & 色彩調整というフローで製作しています。
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